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首都大学東京、再結晶化のパターン制御に成功
2018/8/29
水溶液の水滴をガラスの上に置き水分を蒸発させていくと、溶質が再結晶化する。
首都大学東京・理学研究科の栗田玲准教授らの研究ク?ルーフ?は、いくつかの水溶液で実験を行い、この再結晶化において同心円や放射状、格子状といったパターンを簡単に制御できることを見出した。
今回、重曹や食塩といった日常的に使われる水溶液を用いて、そこにラテックス粒子を混入させた。ラテックス粒子が混入すると、コーヒーリング効果とよばれる現象が起きる。
このコーヒーリング効果を用いて、温度と湿度を変化させるだけで、結晶化のパターンが大きく変化することを初めて確認できた。
このようなパターンは、インクジェットや基盤状に蒸着、乾燥させることでつくられるフィルム状デバイス、食塩の口内での溶解性の違い、レンガなどの細孔内での結晶化による破壊といった塩害などと深く関わっている。
今回のパターン制御の成功は、非平衡現象の学術的発展だけでなく、産業的な応用も期待される。
●本研究成果は、8月21日付けでNature Publishing Groupが発行する英文誌Scientific Reportsにて発表された。
本研究の一部は、学術振興会科学研究費補助金(基盤B No. 17H02945、若手B No. 17K14356)の支援を受けて行われた。
●研究の背景
基盤上の水滴の蒸発は、日常的に観察される現象ですが、実は難しい問題として知られている。例えば、コーヒーをテーブルにこぼしたまま放っておくと、輪っか状のシミができる。これはコーヒーリング効果と呼ばれている。
水滴表面近傍は、飽和蒸気圧に達しているため、蒸発がかなり遅くなっている。一方、基盤と接している部分は蒸発が速く進む。そのため、水分は基盤と接している部分から蒸発し、液滴の中から基盤との接点に向かって流れが生じ、コーヒーの成分が液滴の端に堆積することでリング状のシミが形成される。
基盤上の水溶液の蒸発による結晶化は、先ほどの蒸発の問題に加えて、熱の出入り、密度変化、濃度変化、流れといった要素が複雑に絡み合うより難しい現象になり、未だ解明されていない問題が多く残されている。
また、インクジェットや蒸着、塩害などと深く関わっているため、研究の発展や現象の理解が以前より望まれていた。
今回、問題の一つであった蒸発中の水滴の大変形を抑えるため、水滴の端をピン留めし、水溶液の再結晶化への影響を実験的研究によって調べた。
●研究の詳細
首都大学東京理学研究科物理学専攻の栗田玲准教授、森永恒希(大学院生)、及川典子助教(当時、現:大阪府立大学准教授)らの研究グループは、重曹溶液の水滴にラテックス粒子を混入し、その乾燥・再結晶化過程を調べた。
ラテックス粒子を混入したことでコーヒーリング効果が起き、液滴の端をピン留めすることに成功した。これにより、液体の形状は連続的に薄くなっていき、さらに蒸発速度も一定という条件にすることができる。
●研究の意義と波及効果
今回の研究では、蒸発による再結晶化の結晶パターンがラテックス粒子を入れることで大きく変化することがわかった。
また、蒸発速度や初期濃度を変えることで同心円パターンや放射状パターンなど結晶パターンの制御を実現した。
基盤上の水溶液の蒸発による結晶化は、まだ未解明な問題が多く残されている学術的に興味深い現象である一方で、インクジェットや蒸着、塩害などと深く関わっている。
今回の発見により、研究の発展や現象の理解が期待できるものと考えている。
■詳細リンク先(https://www.tmu.ac.jp/news/topics/18667.html)
首都大学東京・理学研究科の栗田玲准教授らの研究ク?ルーフ?は、いくつかの水溶液で実験を行い、この再結晶化において同心円や放射状、格子状といったパターンを簡単に制御できることを見出した。
今回、重曹や食塩といった日常的に使われる水溶液を用いて、そこにラテックス粒子を混入させた。ラテックス粒子が混入すると、コーヒーリング効果とよばれる現象が起きる。
このコーヒーリング効果を用いて、温度と湿度を変化させるだけで、結晶化のパターンが大きく変化することを初めて確認できた。
このようなパターンは、インクジェットや基盤状に蒸着、乾燥させることでつくられるフィルム状デバイス、食塩の口内での溶解性の違い、レンガなどの細孔内での結晶化による破壊といった塩害などと深く関わっている。
今回のパターン制御の成功は、非平衡現象の学術的発展だけでなく、産業的な応用も期待される。
●本研究成果は、8月21日付けでNature Publishing Groupが発行する英文誌Scientific Reportsにて発表された。
本研究の一部は、学術振興会科学研究費補助金(基盤B No. 17H02945、若手B No. 17K14356)の支援を受けて行われた。
●研究の背景
基盤上の水滴の蒸発は、日常的に観察される現象ですが、実は難しい問題として知られている。例えば、コーヒーをテーブルにこぼしたまま放っておくと、輪っか状のシミができる。これはコーヒーリング効果と呼ばれている。
水滴表面近傍は、飽和蒸気圧に達しているため、蒸発がかなり遅くなっている。一方、基盤と接している部分は蒸発が速く進む。そのため、水分は基盤と接している部分から蒸発し、液滴の中から基盤との接点に向かって流れが生じ、コーヒーの成分が液滴の端に堆積することでリング状のシミが形成される。
基盤上の水溶液の蒸発による結晶化は、先ほどの蒸発の問題に加えて、熱の出入り、密度変化、濃度変化、流れといった要素が複雑に絡み合うより難しい現象になり、未だ解明されていない問題が多く残されている。
また、インクジェットや蒸着、塩害などと深く関わっているため、研究の発展や現象の理解が以前より望まれていた。
今回、問題の一つであった蒸発中の水滴の大変形を抑えるため、水滴の端をピン留めし、水溶液の再結晶化への影響を実験的研究によって調べた。
●研究の詳細
首都大学東京理学研究科物理学専攻の栗田玲准教授、森永恒希(大学院生)、及川典子助教(当時、現:大阪府立大学准教授)らの研究グループは、重曹溶液の水滴にラテックス粒子を混入し、その乾燥・再結晶化過程を調べた。
ラテックス粒子を混入したことでコーヒーリング効果が起き、液滴の端をピン留めすることに成功した。これにより、液体の形状は連続的に薄くなっていき、さらに蒸発速度も一定という条件にすることができる。
●研究の意義と波及効果
今回の研究では、蒸発による再結晶化の結晶パターンがラテックス粒子を入れることで大きく変化することがわかった。
また、蒸発速度や初期濃度を変えることで同心円パターンや放射状パターンなど結晶パターンの制御を実現した。
基盤上の水溶液の蒸発による結晶化は、まだ未解明な問題が多く残されている学術的に興味深い現象である一方で、インクジェットや蒸着、塩害などと深く関わっている。
今回の発見により、研究の発展や現象の理解が期待できるものと考えている。
■詳細リンク先(https://www.tmu.ac.jp/news/topics/18667.html)