日本における重症患者の治療の進歩は著しく、その救命率や治療後の予後も向上しました。しかし、これらの高度専門治療を行える施設は大都市に限られており、それ以外の地域の重症患者はかかる治療が受けられない現状があります。私は、重症患者が国内で公平に医療を受けるために、医療優先固定翼機を用いて、機内で集中治療を継続しながら、地域から高度医療施設に搬送することを目指した、認定NPO法人日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN)の理事長をしています。昨年4月から重症小児患者をドクタージェットで搬送する事業を開始し、これまでに8人の子供と2人の成人を搬送しました。これらの医療を充実させるために、医師、看護師、臨床工学技士などが信頼、尊重しあえるような教育をしていきたいと思います。
地域による医療格差を是正するため、ドクタージェットで小児患者を搬送する事業を開始しました。
講義では、多くのイラストを用いて、実例に沿った内容を説明し、現場が実感できるように工夫しています。毎年、『臓器移植を受けた子ども達のサマーキャンプ』にボランティアで学生(昨年1、4年各7人。内5人看護研究ゼミ生)が参加し、移植を受けた子どもたちの状態と移植後管理を学んでもらっています。4年生の看護研究では、将来、看護師として仕事をする中で遭遇するさまざまな難問を自分で解決できるように、現在の看護学的疑問・テーマを自分で選択し、文献を調べて研究計画書を作成し、自分で解決できるように指導しています。
学生たちがボランティアで参加する『臓器移植を受けた子ども達のサマーキャンプ』の集合写真。
大学をゴールとするのではなく、「将来の夢」を描いてほしいです。また、看護師、保健師、助産師、養護教諭は、どれも命に関わる職種であり、本学で「命の大切さ」を尊び、優しさの心も培ってほしいと願っています。
大阪大学医学部医学科卒業後、病院外科や小児保健センター心臓血管外科で医員として勤務。ロマリンダ大学に外科研究員・クリニカルフェローとしても所属。大阪大学医学部附属病院移植医療部の副部長、国立循環器病研究センター移植医療部の部長を務め、大阪大学大学院医学系研究科の助教授・教授や、大阪大学医学部附属病院未来医療開発部特任教授も経験。現在は千里金蘭大学の学長と、同学大学院看護研究科の教授を務める。
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