「済生会熊本病院」の作業療法士として、急性期の患者さまのリハビリテーションを行っています。当院は、高度な急性期医療が学べると共に、治療と並行したリハビリの展開について学ぶことができます。そのような環境の中で「患者さまの人生の物語に基づいたリハビリテーション」を心がけています。急性期の患者さまは、少なからず悲しみや喪失感を感じていらっしゃいます。そこから一つひとつ「やりたいこと・できなくて悔しいこと」を抽出し、それらができるようになるために筋・骨・神経・精神を評価し訓練を行っています。訓練の結果「できる」ようになり、患者さまが誰かに感謝される存在になられたとき、とてもやりがいを感じます。
講義はアクティブラーニングが多く、友人達と活発な議論の中で多様な価値観や考えを共有することができました。専門的な学びや国試対策はもちろん、教養科目を深く学べたことが今にも活きていると感じています。中でも医学とは切っても切れない倫理学や、多くの地域と関わる講義は、とてもためになりました。障がい者の旅行を支援するボランティアにも参加。対象者と同じ目線で活動することで、いつもと違った視点で社会を見ることができたのも、対人援助職を目指す上で大きな力になったと思います。そして、自分が何をしたいか、どんな風になりたいかを先生方とすり合わせる機会が多く、自分の進みたい領域や病院を早くに絞ることができました。
リハビリテーション医学は幅広い分野。解剖学や生理学、精神科学はもちろん、薬理学や病理学、栄養学の知識も用います。そのため、この仕事についたその日から、学びが終わる日はないと考えています。私自身、勉強が好きではなく、自己研鑽を「自分のために」行うとどうしても辛くなってしまうもの。「患者さまのために」と考えを転換すると、より専門性を高める努力が行えると思います。「患者さまのため」という考えを持って急性期のリハビリテーションスキルを磨くと共に、今後は回復期や生活期のリハビリについても学びたいと思っています。そのために部内のプロジェクトや職能団体などに積極的に参加し、さらに学びを深めているところです。
恩賜財団社会福祉法人 済生会熊本病院/保健科学部 リハビリテーション学科 生活機能療法学専攻/2020年卒/熊本県・熊本マリスト学園高等学校出身。幼い頃から人と話すのが好きで、人と接する対人援助職に憧れて「作業療法士」を目指した内田さん。生まれ育った熊本で働くことを見越して、地元にある熊保大への進学を目指した。「地域に貢献したいという思いがあったので、大学周辺の西里地区をはじめ多くの地域と関わる講義があるのも魅力的でした」と語る。「作業療法士は患者さまの生活機能についてリハビリを行う職種。多くの生活経験が患者さまの理解につながると考え、アルバイトや趣味も楽しむように心がけていました」と、当時を振り返った。