「料理が好き」という生徒の気持ちを萎えさせない、伸ばす指導を心がけています。とにかく褒める(笑)嫌いなことを続けるのは難しいですよね。日本料理は特に、反復練習が上達の秘訣。例えばだいこんの桂むきも、練習した分だけ上手くなるんです。それと必ず食べる。昨日より上手に切れた、だから味もうまいんだと実感する。そうやって体で覚えていくんです。日本料理はレシピがあってないようなもので、同じ料理でも作る人が変われば違う品になるのが面白いところ。それに同じ人が作っても、日によって味が変わるんです。気温や天候に合わせて塩気が強かったり甘みが強調されたり、それがいいんです。授業でも「味付けは思いっきり自分らしく」と伝えています。自分の舌を頼りに調整しながら、変化を楽しめるのが日本料理の良いところだと思います。
好きという気持ちに加え大事なのが、“人間性”だと先生はいいます。大きな声で挨拶する、しっかり人に向き合う。それができれば、料理は自ずと上手くなると。「学校で学ぶ2年間は基礎。社会に出て現場に立ってからが本番です。そこで、人付き合いがきちんとできれば、先輩にちゃんと教えてもらえるし、教えられ上手になる。自分が上になった時にも、教え上手になれるのです」。その大切さは生徒たちにもしっかり伝わっているよう。生徒たちは、デモンストレーションをする先生の横へ積極的につき、真剣に向き合っています。
近年は世界的にも和食が注目されています。自分らしさを活かしながら、日本料理の未来を、新しい和食の世界を築いていける職人を目指して。自分自身に負けず成長できるよう、我々教師もサポートします。
専門分野:日本料理。工業高校卒業後、飛び込んだ料理の世界。努力した分だけ力になる日本料理に魅了されていったという。京都の料理旅館からキャリアをスタートさせ、ホテルや割烹料亭で経験を積み、料理長まで上り詰めた後指導の道へ。業界のために恩返しがしたいという先生の思いに応えるように、授業はもちろん放課後も、教室には生徒たちの活気が溢れる。各々取り組みたいことを自由に真剣にと、指導にも熱が入る。