保育士と幼稚園教諭の資質を併せ持った「保育教諭」として、4歳児のクラスを担当しています。1日の活動の中で特に力を入れているのは、工作やお絵描きを通して個性を伸ばす「自主活動」。自由に遊ばせる時間のように思われがちですが、実は指導する保育教諭のアイデアと技術力が求められる時間でもあります。子どもは「こういうものをつくりたい」と思っても、形にする手段を知りません。そのため、子どもたちのイメージをより具体的にし、方法を示してあげることが大切です。「どうしたらできるかな?」と一緒に考え、つくり上げていく。制作を通して成長していく様子を見るたびに、大きなやりがいを感じます。
中学生の頃、職場体験で保育園に行ったことがきっかけで、保育・教育の仕事に興味を持つようになりました。そのときに感銘を受けたのは、保育士が子どもへ掛ける言葉の選び方がとても素敵だったこと。泣いている子や喧嘩をしている子の気持ちが、保育士の言葉ひとつで切り替わり、良い変化を与える。そうした姿を見て、「私もこんな保育士になりたい」と思うようになりました。就職活動ではさまざまな選択肢を検討しましたが、先生・先輩方の勧めもあり、保育にじっくり取り組める公立園への就職をめざして採用試験対策に取り組むように。園庭が広くのびのびと遊べる環境が整っている園の多い刈谷市に合格することができました。
大学で学んだことは、どれも実際の仕事につながるものばかり。当時覚えた手遊びや体操は、今も積極的に実践しています。特に印象に残っているのは、教室内の物の配置や導線を考える「環境設定」を学んだこと。例えば、おままごとスペースからすぐ見える場所に、工作の道具を集めたコーナーを用意することで、おままごとをしている最中に「料理を盛り付けるお皿は、画用紙でつくれるかな?」などの発想が生まれやすくなるんです。子どもの行動や心理を考え抜いた環境づくりの知識は、現在の業務にも役立っています。また、ピアノの練習にも励みました。初心者からのスタートでしたが、基礎から丁寧に指導してもらい、上達することができました。
刈谷市 公立保育園 勤務/ヒューマンケア学部 子どもケア学科 幼児保育専攻/2020年3月卒/大学時代から「子どもケアセンター」での託児ボランティアのほか、保育園でのアルバイトもこなすなど、保育・教育の現場で実践的な経験を数多く積んだという井上さん。卒業研究では「幼児に対する言葉の選び方」に取り組み、子どもの気持ちを良い方向へ切り替えることのできる適切な声掛け、指導の方法についての論文を作成。その知識を活かして、現在の業務でも子どもが成長できるような指導を心掛けている。今後は子どもたちがクラスでの時間をより楽しく過ごすことができるよう、ピアノの腕をさらに磨くことが目標。