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私立大学/愛知

アイチトウホウダイガク

心理学で築く多文化共生

雪原 アリネ 2025年度入学
【奨学金で広がる可能性】
―本日はよろしくお願いします。最初に自己紹介をお願いします。
初めまして、雪原アリネです。ブラジル生まれで日本育ちの日系ブラジル人です。母方の祖父母が日本人だったため、私は日系3世です。ちなみに、おじいちゃんが広島出身だったこともあり、少し珍しい名字を持っています。4歳の時に来日し、バイリンガルの子どもとして日本で育ちました。小学校1年生から中学校の1年生までは日本の公立学校に通っていましたが、中学校2年生から高校卒業までは在日ブラジル人学校で母語のポルトガル語を使って学びました。その後、一回就職を経験したのち、大学に進学しました。どうぞよろしくお願いします。

―三井物産の奨学生として選ばれたとお聞きしました。詳しく教えてください。
現在、私は三井物産在日ブラジル人奨学金制度の一期生の一員です。去年、大学進学を目指すブラジル人向けのNPOプログラムに参加していました。そのプログラムの担当の先生がこの奨学金のことを知っていて、面接の練習などいろいろとサポートしてくださいました。そのおかげで、無事に大学生として進学し、奨学生になることができました。この奨学金は、在日ブラジル人の若者の将来の可能性を広げ、私たちを日本社会で活躍できる国際人材として育成することを目指しています。

本学の人間健康学部では、日本社会における少子高齢化による課題について学ぶ機会が多くあります。私は、そのような社会問題に対する解決策の一つとして、多文化共生社会の促進だと考えています。その意味でも、三井物産の奨学金は、私たち在日ブラジル人学生を支援することで、そのような社会を実現する一助になっていると思います。

―スピーチではどのようなことを話されたのですか?
スピーチでは、自分のこれまでの背景、現在大学で取り組んでいること、将来どんなことがしたいかを話しました。私は将来、心理士になって心理分野の中で外国籍の人々を支援したいという想いを述べました。この奨学金制度ができたことは、在日ブラジル人にとって大きな誇りになり、若者たちが大学進学できる機会を作ってくださったことに、とても感謝をしています。

―ありがとうございます。通われていた在日ブラジル人学校には今も関わられているのですか?
はい、在日ブラジル人にとって、日本で大学に進学することは当たり前のことではありません。そのため、奨学生となった現在は、後輩たちに「大学進学が可能である」ということを伝えるためのプロジェクトに参加しています。母校でキャリアセミナーを行うNPOと一緒に、高校卒業後のキャリア選択に関する授業を行っており、自分の経験を例に挙げながら話をするようにしています。

【心理学を学び、外国籍の人々を支えたい】
―雪原さんは高校を卒業して本学に入るまでの3年間、一度就職して社会人経験もされていますね。大学進学を目指したきっかけや高校卒業後の3年間について教えてください。
小学生の頃から大学へ進学したいという想いはずっとありました。しかし、当時の在日ブラジル人学校では大学進学の情報があまりなかったことや、卒業後すぐに進学するには難しい状況だったため、就職の道を選びました。就職して働くなかで、自分の長所や短所が分かるようになりました。
また3年間の間に一度、海外への留学も経験しました。当時は海外の大学への進学も考えていましたが、留学を通して「日本を出るのはまだ早い」と感じ、自分の日系というアイデンティティを深く知るために、日本で生活し、日本の大学に進学しようと決めました。

―就職や留学経験を経て、自分の進みたい道をしっかりと選択されてきたのですね。では人間健康学部を選ばれた理由は何だったのでしょうか?
高校卒業後は社会学を勉強したいと考えていたのですが、就職して働くなかで学びたい分野に変化が生まれ、心理学を勉強したいと思うようになりました。また、将来の就職について考えたときに、心理学では「心理士」という職業があり、社会学よりも自分の選択肢が広がると考えたことも理由の一つです。

―心理学についてなぜ勉強したいと思ったのでしょうか?
自分が興味あることの中で、外国籍の人たちに役立つことがしたいという想いがあり、心理学を学ぶことで、将来子どもたちのために生かすことが出来るのではないかと考えたからです。心理士の資格を取るには大学院への進学が必要です。自分が研究者になりたいのか、心理士になりたいのか、あるいはその両方の道に進みたいのかを、大学4年間の中で考えたいと思っています。

―本学の魅力はどのような部分にあると感じますか?
私にとって愛知東邦大学の魅力は、ブラジルの教育システムと似ている点があるところです。どちらも一人ひとりを大切にしています。私は小さい頃、日本の学校では自分の個性が十分に活かされていないと感じることがあり、日本の学校での勉強を続けませんでした。しかし、大学での経験はまったく違っていて、自分らしさを大切にできる環境にいることでとても嬉しく感じます。

【E.S.Sでの活動】
―雪原さんは英語も流暢に話されますが、どのように勉強されたのでしょうか?
英語は高校2年生のころから勉強を始め、ブラジル学校で放課後に英語の先生から教わっていました。高校卒業後の留学も、その先生の支援で行くことが出来ました。

―高校生のころから勉強を続けられているんですね。英会話サークル「E.S.S」(English Speaking Society)でも積極的に活動されていますが、その活動について詳しく教えてください。
現在のメンバーはおよそ13人で、毎週必ず参加するメンバーは3人ほどです。 先日、先生から「E.S.Sのリーダーにならないか」と声をかけてもらいました。今は大学祭でのE.S.Sによる模擬店準備で忙しいのですが、大学祭後により力をいれて国際交流を活性化させていきたいと思っています。

―大学祭での模擬店はどのような内容なのでしょうか?
今年の文化祭では、ブラジルのコロッケを販売する模擬店を出す予定です。ブラジルのコロッケは日本のコロッケとは味が異なり、甘さよりも塩味が効いているのが特徴です。
今年はブラジルをテーマにした模擬店ですが、来年以降はさまざまな国をテーマにしたいと考えています。また、来年は早めに参加を募って、より多くの学生が参加できるようにしたいです。

―ブラジルの文化について、食を通じて知ることができるのはとても素敵ですね。では、E.S.Sで今後具体的にやってみたいことがあればぜひ教えてください。
大学の中で、留学生や外国籍の人に限らず、日本人の学生も参加出来る環境を作りたいと考えています。英語を話す自信がない人でも、英語を使ったゲームなどで気軽に参加できるようにしたいです。E.S.Sは週に1回、月に4回活動しているため、週によって英語のレベルを変えるなどして、様々な人が参加しやすい環境を作っていきたいと考えています。

―限られた人だけが参加するのではなく、誰でも参加しやすい開かれた環境をつくろうとされているんですね。日本と在日ブラジル人学校、両方を経験されたことが、今の雪原さんの強みや考え方につながっているのでしょうか?
私は、全ての活動において多文化共生を促進する軸があると思っているため、常にそのことを考えながら活動するようにしています。今だと強みというふうに思われることが多いですが、日本の学校にいた当時は、そのように感じられませんでした。しかし、さまざまな経験をする中で、自分の違いが強みになり、それが現在の自信にもつながっていると考えられるようになりました。

―雪原さんの活動を知って背中を押される高校生も多いかと思います。今後の活動についても応援しています!本日はありがとうございました。
ありがとうございました!
愛知東邦大学(私立大学/愛知)
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