大学で教鞭を執るかたわら、今も作業療法士として患者様と関わっています。たとえば、リハビリによって腕の機能を回復させるのが理学療法士の役目なら、動くようになった腕で着替えや食事など、日常生活に必要な活動ができるようアプローチするのが作業療法士の役目。私は手の疾患を専門としており、「蓄積外傷疾患に対するリハビリテーションの効果検証」をテーマに研究に取り組んでいます。蓄積外傷疾患とは、いわゆる使い過ぎによって起こる疾患のことで、代表的なのが腱鞘炎です。最近はパソコンやスマホを使うことで発症する患者様も増えていますが、手の動きを制限するだけでは本当の意味での回復にはつながりません。姿勢や体の使い方に原因があるとすれば、そこを正す必要があります。現在は疾患予防にも着目し、研究を進めているところです。
装具の制作実習は、素材を切って、お湯で温め、柔らかくなったところで、手の形に合わせてつくっていきます
金子先生が担当しているのは、「解剖学実習」「作業療法評価学」「運動学」といった専門基礎科目です。ゼミでは、解剖学・運動学・生理学を中心とした国家試験対策に力を入れているほか、北海道作業療法学会や日本作業療法学会に学生を参加させ、発表の機会を設けるなど、在学中に貴重な経験ができるのも金子ゼミならでは。年に数回、臨床現場で働くゼミの卒業生を集め、情報交換や最新技術の習得を目的とした卒後研修を実施しており、国家試験合格に向けたサポートだけでなく、一人ひとりの将来まで見据えた指導を大切にしています。
感覚検査などの技術を習得します。作業療法士は人と関わる仕事だけに、礼節を忘れないよう指導しています
作業療法は、1万人の対象者がいれば1万通りのアプローチの方法があるといっても過言ではありません。その人の生活背景に対応した、オーダーメイドの方法を見つけることがこの仕事の魅力であり、やりがいです。
大学での研究を臨床現場に還元し、そこでの経験を研究に生かす。「それが自分の使命」と話す金子先生
専門分野:身体障害作業療法学、運動器リハビリテーション、ハンドセラピィ
2006年、北海道千歳リハビリテーション学院卒業後、札幌徳洲会病院、篠路整形外科に勤務。札幌医科大学大学院保健医療学研究科へ進み、修士・博士課程を修了。2012年に北海道文教大学人間科学部作業療法学科の講師に。2016年より同大学大学院の専任教員を兼任。剣道3段。休日は趣味のバンド活動(ボーカル、ギター)に取り組んでいる。
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