私は舞台照明として、ドームやアリーナ、スタジアム等、主に九州圏内にある大ホールの照明を手がける会社で働いています。舞台の仕事は、準備にどれだけ時間をかけたとしても本番は一度きり。毎回緊張しますが、私はその緊張感と終演後の達成感が好きです。特にピンスポットの担当では、会場全体の照明がおち、お客様の「ワ~ッ」という歓声があがる、その瞬間、高揚感で胸が高鳴り、やる気が出ます。とはいえ、まだ経験不足なので、自分の力不足に悔しい思いをすることも。でもそんな時こそ「次こそはやってやる!」という前向きな気持ちを持つようにしています。いつか、憧れのアーティストのコンサートでピンスポットを当てたいです。
舞台照明との出会いは小学生の頃。初めてドームのコンサートを見に行き、感動して、「こんな幸せな空間を作る仕事ってどんなのだろう?」と興味を持ちました。そして後日、この業界のことを調べ、「舞台に関わる仕事がしたい」と思うように。「やってみたい」という気持ちが強くて、中学3年生で初めて福岡ビジュアルアーツ・アカデミーの体験に行き、高校では10回程体験講座に参加。初めの頃は音響機器の方に興味があったのですが、色んな体験をしていく中で「照明」が楽しいと思うようになり、この道を選びました。だから、私がおすすめするのは「少しでも興味があれば体験してみること」。私は自分の好きな道を見つけることができました。
学生時代には、照明機材やケーブルの種類、仕込み図の読み方など、ゼロから教わりました。初心者でしたが、就職後スムーズに現場に馴染めたのは先生方の指導が大きかったと思います。また学生時代の一番の思い出は、学内イベントにスタッフとして参加したこと。福岡ビジュアルアーツ・アカデミーのホールでは常時色んなイベントが開催されるので、現場経験を積むことができました。放課後に友達と残って照明の打ち込みをしたのが、いい思い出です。卒業後、実感するのは、専門学校時代の環境がいかに素晴らしかったかということ。自分で照明卓を扱ってオペレーションできる機会なんて卒業したら中々ありません。学生時代の経験が私の財産です。
(株)エルエスアイ 勤務/音響学科/2019年卒/「照明の中でも舞台がやりたい!」と、学生時代には校内で開催されるイベントに積極的にスタッフとして参加。現場につながる数多くの経験を積んだ。卒業後は、九州を中心に全国で照明演出を手掛ける(株)エルエスアイへ就職。「『照明はライティングショーではなく、ステージ上のアーティストを引き立たせるもの』と先生から教わったことが、自分の照明演出の原点になっている」という阿部さん。次は東京で行われる3ヶ月間のライブツアーにスタッフとして参加予定。夢に向かって、着々と地盤を固める努力家である。