キャラクターデザインは、登場するキャラクターの設計図を作る仕事です。正面、横、後ろ姿に加えて、数パターンの表情を作ります。中でも私のこだわりはキャラクターの「動き」。自分にしか描けない動きを表現して、同業者にも「すごい」と思わせたい。街では常に人や犬の動きを観察しています。リズム、テンポがそれぞれ違うんです。絵にする時はキャラクターの設定を理解して、「跳ねるように歩かせよう」とか、動きに性格を乗せていくのが楽しいし、難しい。作画の担当者と意見を交わして満足できる画面になればやりがいを感じますし、細かい工夫に気づいた視聴者が「あれはよかった」とSNSに書き込んでいるのを見かけると励みになります。
福岡テックへの進学を決めるまで「アニメーション業界で働きたい」と考えたことはありませんでした。ただ、絵を描くことはずっと好きでしたね。幼稚園の頃、近所のお姉さんの絵に衝撃を受けたことをはっきり覚えています。思い描いたイメージを線や記号で伝えることができる。そのことに感動したんです。高校生活の終わり頃に、あるアニメーション作品と出会い、「こんなにすごいことができるのか」とアニメの見方が一変しました。それでも、友人に「お前は絵が上手い」と言われるまで、仕事にしたいと思うことはありませんでした。そもそも、評価されることが不安で、自分の絵を人に見せることもめったになかったんです。
プロを目指す若い人は、いまのうちに感性を磨いてほしいですね。アニメに限らず流行に敏感になることも大切です。そして、「エンターテインメントとは」という自分なりのこだわりを確立してください。アニメが仕事になればそのこだわりはきっとへし折られると思います。それでも負けずに新たなこだわりを確立する。その繰り返しがプロでやっていくということだと思います。
株式会社オー・エル・エム勤務/ポップカルチャーワールド 卒/卒業後はアニメーターに。キャラクターデザイン担当となったのは、「ポケットモンスター サン&ムーン」から。最新作では総作画監督とキャラクターデザインを担当している。