世のなかには、「ものづくり」に分類される仕事がたくさんありますが、料理もその一つ。ものづくりの原点は、一生懸命に丁寧に取り組むことだと私は考えています。料理の工程には、決められた順序があります。食材の下処理から始まり、切り方~調理(カット)~火入れ~盛り付けという基本をしっかりと身につけるためには、どの工程にも手を抜かず、愛情を込めて行うことが大切。私の好きなフランス語に「一生懸命努力すれば、ご褒美がもらえるよ」という言葉があります。この学校に入学してくる生徒の多くは、「自分が作った料理を、家族や友人に美味しいと言ってもらえて嬉しかった」という身近な成功体験を持っています。卒業後はプロとして、もっとたくさんの人を笑顔にできる。そんなご褒美がもらえる仕事は、本当に素晴らしいと思います。
好きなことを学びたくて専門学校に入学しても、壁にぶつかることはたくさんあります。その際に先生が生徒たちに伝えるのは、自身の体験を踏まえた実践的なアドバイス。選択を迫られ、悩む生徒に対しては「大変だと思った方を選ぼう」と語りかけます。さらに先生が授業で大切にしているのは、プロ意識を育てること。専門学校はプロになるための職業訓練を受ける場。プロとして欠かせない技術はもちろん、社会性の基盤となる人格を高める教育を行うことで、生徒たちは職業性を理解した上で料理の世界に羽ばたいていきます。
まずは好きなこと、好きな料理を見つけましょう。西洋料理、日本料理、中国料理、製菓。それが見つかれば、あとは一生懸命努力するのみ。料理そのものを楽しみながら学んでいきましょう!
専門:西洋料理
略歴:武蔵野調理師専門学校副校長。ホテルセンチュリーハイアット、東京全日空ホテルを経て、ロイヤルパークホテル「ラバンチュール」料理長に。ホテル時代より震災時の炊き出しなど、食を通じたボランティアやイベントにも携わる。豊島区の西武こどもセンターでは、自閉症の子どもたちへのお料理教室などを継続して実施中。そうした先生の姿を見た生徒たちが2006年にボランティア活動団体を立ち上げた。