調理場でのトップはシェフ。私は現在、シェフに次いで二番手の立場で仕事をしています。まだ役職にはついていないとはいえ、責任ある立場なので、つねに緊張感を持って仕事をすることを心がけています。仕事内容は食材の下処理から焼きなどの調理、仕上げ、盛り付けまで調理全般を行うほか、まかない当番の決定、納品伝票の整理、発注業務など事務作業もあります。最近はレストランにもようやく活気が戻ってきているので、とにかく料理を作ってご提供することが本当に嬉しいです。ほぼ厨房で仕事をしているため、お客様と接する機会はあまりありませんが、時折目にする食事中のお客様の笑顔が、仕事へのモチベーションにつながっています。
幼稚園の頃から母が通っていた料理教室についていくなど、調理に触れる機会がたくさんありました。そのうち自分でも料理を作るようになりました。食べることや料理番組を見ることも好きで、いつも料理が身近にある環境。初めて見たり味わったりした料理に出会うたびに自分でも作りたくなり、いつしか本気でプロの料理人を目指すようになりました。高校時代は5校ほど専門学校の見学に行きましたが、一番好印象だったのが武蔵野調理師専門学校。一人一台ある実習用調理台、豪華な講師陣などに魅力を感じて入学を決めました。また、「いずれは自分の店を持ちたい!」という夢もあったので、経営や簿記なども学べる高度調理経営科を選びました。
2年次は入学前から憧れていたフレンチを選択。カッコよさからフレンチがいいなとずっと思っていましたが、調理以外にもフランス料理の歴史などを習ううちに、フレンチの奥深さを実感。フランス語の授業で数字の読み書き、食材の表記も学んだので、入職して本格的にフレンチの世界に飛び込んでからもスムーズに対応することができました。また賞味会という行事では、初めて人に食べていただくものを自分たちで提供したので、プロとしてどのようなスキルが必要なのかを身を持って体感することができました。武蔵野の授業・実習は、すべて現場の仕事に直結するものばかり。学生時代にとことん鍛えられたことは、すべて自分の糧になっています。
株式会社セーキ(銀座レカン)勤務/高度調理経営科/2012年卒/武蔵野調理師専門学校卒業後は、フレンチレストランの運営を行う株式会社セーキに入社。前店舗に5年勤めたのち、2020年4月に銀座レカンへ。「ここは学生時代食べ歩きをしていたときに大好きだった店。格式高いフレンチの老舗で働けることに大きなやりがいを感じています。とはいえ料理人の世界は厳しいこともたくさん。2年目までは落ち込むこともありましたが、そんなときに助けてくれたのが職場の先輩たちでした。店舗には武蔵野調理出身の後輩も多いので、今は私が彼らの助けになりたいと思っています」(出口さん)。