アニメーションの制作に携わっているのはおよそ200人。エンドロールにスタッフが紹介されているのを皆さんも観たことがあると思いますが、その中の多くの方が制作現場で活躍している人達です。私は制作プロデューサーをやっており、アニメをビジネスとして成立させるような仕事をしています。たとえば、企画段階からクライアントと打ち合わせをしたり、クリエイターを適材適所に配置して良い作品をつくるための制作体制を整えるなど、いわば全体を統括する役割ですね。
私がアニメーション業界に入ったのは2002年。大学を卒業してから、日本電子に入学し、そこからマッドハウスというアニメーション会社に入社。当初は、制作進行を任されていたのですが、時間的、体力的な面で「絶対に辞めてやる」と思いながら仕事をしていました(笑)。ただ昔からアニメーションに携わっている人は、“きつい”とは感じていなくて、好きなことに情熱を注いでやっているだけ。よく怒られながら仕事をしていましたが、いつの間にか「辞めたい」という気持ちも薄れていき、そういう人達と一緒に良い作品をつくることが楽しくなっていました。そういう意味で、私がアニメーションをつくる喜びは、人との出会いなのかもしれません。
2014年に立ち上げたスタジオヴォルンは、「温故知新」という言葉をコンセプトにしています。優れたアニメ作品には、創り手の魂が込められています。体力的、時間的な面では大変な業界ですが、その情熱はこれからもずっと大切にしていきたいと思っています。一方で、離れていく人もいるこの業界で、人が育つ環境づくりも忘れてはなりません。自分たちで作品をつくったり、異業種とコラボしたり。自発的に作品を発信していくことで、自分たちの可能性を広げていける、そんなアニメーション制作会社を目指していきたいですね。
株式会社スタジオヴォルン 代表取締役 プロデューサー/アニメーション科(旧CGアニメ科)/2002年3月卒/以前在籍していた株式会社マッドハウスに、制作プロデューサーとして「HUNTER×HUNTER」「逆境無頼カイジ 破壊録編」などの作品に携わる。2014年、スタジオヴォルン設立。モノづくりの精神を継承し、新しい可能性にチャレンジしていくという理念のもと、「うしおととら」「アイドル事変」「アカシックリコード」などのアニメーション作品を手掛ける。