私の専門は航空工学です。それでも、教壇に立つ時はいつも、“航空の原理”を講義するだけでなく、まずは「たのしみ」を見出してほしいと考えています。トータルモビリティ工学科では、「モノづくり」という点については、航空分野にだけ限定しているわけではありません。それよりも、モノづくりを通して社会の発展に貢献でき、社会に必要とされる人材を育てていきたいと思います。
そのためにも、学生たちにぜひ身につけてほしい目標は大きく2つあります。それは、「自立した学修力」と「卓越した人間力」です。4年間に及ぶトータルモビリティ工学科の教育を通してこれらの力を育み、自ら考えて行動し、仲間と協力しながら何かを創り上げる人間として、これからの時代を歩んでいってほしいですね。
学科長としてトータルモビリティ工学科の学生を教える松尾先生。特に力を入れているのは、モノづくりの基礎を築くことだと断言します。「まずは熱力学・流体力学・材料力学・機械力学の“四力”を学びます」(松尾先生)。さらに、これらの知識をベースに、航空機のシステムを構成する航空力学にまで広げていく体系的な授業を展開しています。
また、「『超音速空気力学』の講義も、本学科のユニークな授業の一つです」と教えてくれた松尾先生。さまざまな角度から学びを深め、即戦力となるエンジニアの育成に取り組んでいます。
志を持ってほしい。なぜなら大学や専門学校に進み、就職することがゴールではないから。志高く、人生は日々学ぶ姿勢が重要です。加えて、一生懸命チャレンジしてください。その先にさまざまな気づきがあるでしょう。
埼玉県出身。京都大学航空工学科を卒業後、東京大学大学院航空宇宙研究所に進学。修了後、トヨタ自動車で7年間、本田技研工業で31年間勤務。HondaJetの開発に携わった。現在は日本航空大学校トータルモビリティ工学科学科長も務める。「京都大学ではボート部に所属し、エイト(8人制競技)のかじ取りを担うコックスでした。チーム競技なので協調性を養う機会になったと思います」(松尾先生)。