グラフィックや販促POPなどを手がけるANTIというデザイン事務所のデザイナーです。私は、デザイン制作だけでなく、イラストも描けるのがアピールポイントです。ビジュアルにイラストを入れると親しみやすい雰囲気になるので、時に活用。「こんなテイストのイラストが欲しいです」と求められて対応することもあります。クライアントから「このデザイン素敵ですね」と仰っていただいたり、制作物が完成して実際に使われているのを見たりしたときが一番やりがいを感じます。特に、「こんなイラストを入れたデザインはいかがでしょうか」とご提案して採用されると、心の底から「やっっった~~!」という声があふれるぐらい嬉しいです。
ANTIに入社したのは、日本デザイナー学院の講師でもある恩師から「うちの事務所に来ないか」と誘われたことがきっかけです。初めは、「私にデザイナーってできるの?」と思ったのですが、そのうちに「やってみてもいいかな、できるかもしれない」と考えるようになり、入社を決めました。だから、自分が選んだというより、全く考えもしなかった別の選択肢を与えてもらったようなものです。専門学生のころ、デザインが苦手だと思っていた自分が、デザイン業界で何ができるか興味があって、この道を選びました。
入学した当初は、イラストレーション科なのになんでデザインを学ばないといけないのかと、困惑しました。でも、学んでいくうちに、これって覚えておいたらイラスト制作に役立ちそう!と思うようになりました。イラストは誰かに見せたいという思いがあってこそ成立します。デザインも同じで、人の目に留まるデザインをどう考えるかが大切。そんなイラストとデザインの共通点を見出せる授業に触発されました。わからないことは授業が終わる度に先生に質問。先生方は親身に対応してくださったことも覚えています。今思うと、デザインを学ぶ重要性を理解したことが、現在、自分が進んでいる道に通じるための鍵だったと思います。
基本は、自分が好きな方向や進んでいきたい分野で選ぶのがいいと思います。そのために、1)自分が得意な方向は何かを検証する。2)将来、どんな道に進んだら自分はベストなのかを探してみる。3)自分が本当に好きなことをいくつか挙げてみる。4)友人・知人、家族に聞いてみる……。もし、たくさんあって選べないのなら、上記のように選択肢をつくって、そこから選んでみるようにしてみてください。私の場合、日本デザイナー学院に入学すると決めたときに、どの学科で学んだらよいか悩み、日本デザイナー学院の先生に相談しました。迷ったときは、最後は誰かに相談するのがいいと思います。
有限会社ANTI勤務/イラストレーション科 卒/2016年卒/中学生のころに展示会で見た大きな絵に衝撃を受け、絵を描くことに目覚めた初野さん。急遽、美術高校に進路を変更。高校では美術を重点的に学び、進路ガイダンスで知った日本デザイナー学院へ入学。今に至るまで、分岐点で目の前に進む道が現れ、そこを突き進んできたようだと語る。描いたイラストのストックは常に用意しながら、最良のデザイン提案につとめているそうだ。「そのときにできることはやってきたので、これからは新しいことに挑戦できたらと思います。会社として何か新しいことをするのか、それとも自分なのか。楽しそうなことはないか、アンテナを張りめぐらせています」。