作品づくりが健康法のひとつにもなっています(笑)
作品を届ける相手が一般の方々であれ、マニアックな層であれ、“楽しんでもらえる作品をつくる”ということに尽きます。その“楽しませる”という目的に向けて、映画制作という大きな船が、今、どこに向かっているのか。それを見つめ、動かしていくのが僕の仕事ですね。この年齢になっても撮影現場で走ったり、歩いたり、笑ったり、泣いたりすることが多いのが醍醐味かな。実は、今がこれまでの人生で最高に忙しいんです。2024年は公開作品もたくさんあって、そのなかの1本が映画『夏目アラタの結婚』。原作マンガのファンの方々に満足してもらえるような作品をめざしつつ、同時に映画独特の表現にもこだわっています。
僕が学生だった頃は、レンタルビデオも配信もない時代。そんな時代に、先生が自ら映写技師の資格を取って、さまざまな先駆的な映像作品を僕らに“叩きつけて”くださった。あの体験は絶対的なものですね。ヌーベルバーグの巨匠から日本の名作ドラマに至るまで、「こんなにおもしろい世界があるんだ!」と思いました。
監督をめざすのであれば、自分自身の撮りたいイメージがあることが大事。それは映像表現のすべてがAIになって、カメラがなくなる時代が来たとしても変わることはありません。結局、細部にいたるまで演出をジャッジするのは自分だし、明確なビジョンが必要なんです。寝ても覚めても撮りたいイメージを持って現場にいれば、自然とチャンスはやってくるもの。人が恥ずかしいと思うことでも、「自分は好きだ」と思うとそれが出発点になるんですよ。そこを忘れないで、自分にとって面白いものは何かを常に考え続けてほしいですね。
株式会社オフィスクレッシェンド 勤務/映画制作科/1978年卒/近年は、映画『STEP OUT にーにーのニライカナイ』、映画『私にふさわしいホテル』、映画『夏目アラタの結婚』などを手がける。堤作品をきっかけに輝く俳優も多い。「一般の人々が抱く、その役者さんに対する“共通イメージ”みたいなものに頼らないことを大切にしています。例えば仲間由紀恵さんは、清楚でおとなしいイメージだったけど、実際に会ってみると、すごくレスポンスがよくて受け答えも面白いので、コメディに向いているんじゃないかと。それで『TRICK』(テレビ朝日系)では、シリアスからコメディへと路線をガラっと変更したんですよ」。
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