アニメ制作における“撮影”とは、アニメーターが描いたセル画や美術が描いた背景、3DCGなどの素材をソフトを使って合成し、ひとつにまとめていく仕事です。さらに光などエフェクトを加えたり、カメラワークを付けて、1カットごと映像にしていく“画作り”を担っています。撮影監督の役割は、それら撮影処理の方向性を決めること。作品全体を演出する監督の意図をくみ取って、映像の雰囲気や質感をつくることに日々奮闘しています。一番のやりがいは、自分が出力した映像がそのままテレビでオンエアされたり、劇場のスクリーンで上映されるのを見られること。上手くいったカットがあると、達成感があります。
中学生のころからアニメが好きで、高校で進路選択するころにはアニメ制作に関わる仕事がしたいと思っていました。絵を描くのが好きだったので、入学時はアニメーター志望でしたが、東放学園ではアニメに関わる仕事を幅広く勉強できたのがよかったですね。今使っているソフトの使用方法を授業で学んで、撮影という仕事を知るきっかけになったのが自分にとって大きかったです。
撮影監督として難しいと感じるのは、自分がつくりたい映像を撮影チームのメンバーにどう伝えるか。映像を言語化するのはやはり難しいです。アニメ『僕の心のヤバイやつ』では、監督から「キャラクターの心情に合わせて、光と影の表現で映像をつくっていきたい」というリクエストがありました。ポジティブなヒロインとネガティブな主人公では、同じ教室にいるシーンでも画面の明るさが異なっていて…最初は難しさも感じましたが、キャラクターの気持ちが大きく動いたところで、通常より光の処理を強めに処理し、そういったカットをポイントごとに入れていったことで、メリハリのある映像になったと思います。
(有)高橋プロダクション T2studio 勤務/アニメーション・CG科/2008年卒/アニメ撮影監督として、これまでにアニメ『僕の心のヤバイやつ』『風都探偵』などの作品に携わる。後輩たちへのアドバイスを尋ねると「アニメに限らず、仕事をしていく上で、自分なりの『こだわりを持てるか』は大きなポイントで、そこで人と差がつくと思います」と竹沢さん。「自分は在学中に時間をたっぷりかけて、撮影にこだわった作品をひとつ制作したことで、作品作りの楽しさや達成感を知ることができました。学生時代は時間がたくさん使えるので、自分のやりたいことを突きつめてください」と話してくれた。