「バイオデータサイエンティスト」とは、遺伝子に刻まれた生命の地図=遺伝子情報を駆使して、医療や産業のさまざまな課題にアプローチしていく職業です。たとえば、医療分野では病気の診断や治療に役立ったり、産業分野では新たな有用物質を生産したり。しかし、遺伝子の多くは未解読なため、今はまだ十分に利活用できておらず、データの解析を行うバイオデータサイエンティストが必要とされています。遺伝子と聞くと一見複雑なようでも、バイオデータサイエンスを使えば、膨大な情報の海を自由に冒険できるようになり、人の役に立つ情報を抽出することも可能です。「まだ誰も解明したことがない生命の能力や歴史を見つけることだってできるかもしれない」という面白さにあふれた分野だと感じています。
「より良い未来への近道は、遺伝子情報の利活用を軸にした医療や技術開発にある」という信念を持つ延先生。授業ではバイオサイエンスをはじめ、解析に必要なプログラミングや統計学も学んでいきます。遺伝子と統計学は、それぞれ全生命・全世界共通の言語。そこから引き出せる可能性・情報は無限大です。「人はそれぞれ思考回路が異なり、自分に向いた考え方やデータの表し方・探り方があります。それを身につけられるよう学生と協力し合いながら、探していくことが大事だと思っています」。
「なんでこんなこと勉強しなきゃいけないんだろう」と感じさせない授業が大事だと考えています。まるで未開拓の古代遺跡に潜り込んでいるような、バイオデータサイエンスの面白さをぜひ知っていただきたいです。
専門:データサイエンス
経歴:カールトン大学、イリノイ大学を経て、現在は国立研究開発法人産業技術総合研究所主任研究員を務める。バイオデータサイエンスの教育を強化したいという思いから、2023年4月に新設される東京医薬看護専門学校のバイオデータサイエンス学科の教壇に立つことを決意。