進化するがん治療 |
日本人男性の4人に1人、女性の2人に1人が一生涯のうちに罹患すると言われている「がん」。医療の進歩に伴い、がんは治せる病になってきましたが、その背景にもバイオデータサイエンスの技術が活かされています。 |
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キーワードは「遺伝子解析」 |
がん治療は、がんが発生した部位や臓器を手術によって取り除いたり、抗がん剤や放射線治療を用いた化学療法が主流です。しかし、同じに見えるがん細胞でも、治療の効果は個人差が大きく、医療の現場では試行錯誤が繰り返されてきました。度重なる化学療法や手術は、患者さんにとっても大きな負担になります。 そんな中、近年注目されているのが、バイオデータサイエンス技術を活用した遺伝子解析による治療法です。がん細胞は、遺伝子が変異することによって発生しますが、もともと遺伝子は一人ひとりによって異なるもの。バイオデータサイエンスによって遺伝子解析を行えば、患者さんの遺伝子に合った治療法がわかってきます。変異した遺伝子を持つがん細胞の「顔つき」を突き止め、そこをピンポイントで治療できる薬を使えれば、副作用も少なく効率よく治療ができることがわかってきたのです。 |
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バイオデータサイエンスによって、治療から予防へ |
こうした「オーダーメイド」の治療法が確立されれば、がん治療の可能性は大きく広がります。また一方でバイオデータサイエンスを活用し、一人ひとりの遺伝子を調べれば、どんな種類のがんにかかりやすいのかといった予測も立てられるようになるのです。予測ができれば、がんにかかりにくくするための生活習慣も明確になり、その人に合わせたオーダーメイドのがん予防薬や治療薬が開発されることも夢ではありません。
2021年も日本人の死因トップになっているがん。しかしバイオデータサイエンスの進化に伴い、「怖い病気」ではなく、「予防できる病気」になる未来が近づいているのです。 |
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