現在、私は国立成育医療研究センターで再生医療の研究を行っています。京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞して一躍注目を集めることになったi PS細胞やES細胞を扱い、創薬や再生医療の基盤となる研究成果を導き出すための実験を行うことが主な仕事内容です。実験を行う際に一番大事なことは、正確なデータを出すこと。たとえ予想外の実験結果が出ても冷静に受け止めて次に生かしていく姿勢は専門学校時代に教えられたもので、現在も生きています。やりがいを感じる瞬間は、何といっても難病で困っていらっしゃる方の治療に少しでもつながる実験結果が出た時。そんな時は喜びと同時に大きな責任を感じています。
高校時代に再生医療に関わるドキュメンタリー番組を見て、細胞には無限の可能性があることを知り、将来はこの分野で働きたいと決心しました。具体的にどのような進学先があるか考えていたところ、たまたま雑誌で東京バイオテクノロジー専門学校では再生医療について深く学べることを知り、入学を決意。大学に進む選択肢もあったとは思いますが、結果的に1年生から多くの実験を通じて専門的な勉強ができる学校に進んで良かったと思っています。専門学校時代は仲間と共に実験に夢中になって取り組む充実した日々でした。学校のインターンシップ制度で現在の職場で 卒業研究を行い、成果を出すことができたことにもとても満足しています。
インターンシップ時代はマウスのiPS細胞を作って心臓の筋肉を作る研究を3年間行い、現在はiPS細胞やES細胞が 長期に安定して培養できるような環境を調べるための実験を積み重ねています。まだまだ地道に実験を積み重ねて いく段階ですが、近い将来には細胞を移植して病気を治す再生医療の発展、画期的な創薬につながっていくような研 究成果を出していくことが、私の大きな夢であり目標でもあります。もしも自分たちのチームが行っている研究成果に よって現在の医学では治療が難しいような病気で困っている方を一人でも救う手助けをすることができたなら、こんな幸せなことはないと思っています。
国立成育医療研究センター 再生医療センター 生殖細胞医療研究部勤務/バイオテクノロジー科(4年制)/2005年3月卒/インターンシップの際に行った研究成果が高く評価され、専門学校卒業と同時に国立成育医療セン ターの研究員となる。「社会的な関心の高い分野の研究なので、日々大きな責任を感じています」。研究活動は体力 勝負。趣味のゴルフとランニングで健康管理にも気を配っている。