私がおもに手がけているのは、冊子の表紙やカットなどの商業イラスト。イラストレーターは形のないものを形にする仕事です。同じ言葉でイメージを伝え合っても、思い描く形は人それぞれなので、そのイメージをどうしたら最適な形として具体化できるか、ということを日々考えています。完成したイラストをクライアントさんにお見せして「これが欲しかった」と言っていただけた時は、本当に安心すると同時に、同じイメージを共有しながら進めることができたのだと嬉しく思います。自分のイラストが見てくださった方の心を動かすきっかけとなれた時、「描いていて良かった」と、これからに向けての大きな力になります。
小さい頃から絵を見ること、描くことが大好き。絵と共に生活する中で「絵は人とものを結びつけるきっかけになるんだ!」と気づきました。たとえば日常生活の中で、食品パッケージのイラストを見て「おいしそう!」と思ったり、本屋さんで本の表紙を見て「読んでみようかな」と思ったり。自分もそんな絵を描けるようになりたいと思ったのが、この分野を選んだきっかけです。本校に入学後は、デッサンなどの基礎から画材の使い方、PCを使ったイラスト制作、ものの見方まで幅広く学びました。現在はデザイン会社でイラストレーターとして働いていますが、自分自身の作風やタッチをあえて限定せず、応用範囲の広さを強みにしています。
おすすめしたいのは、自分の「好き」という気持ちを尊重すること。絵を描くことが本当に好きでずっと描き続けていられるなら、最初はクオリティに自信がなくてもきっと上達するはずです。私も現在は1日中イラストを描いていますが、好きでなければできない仕事だと思います。もうひとつ大切なのは「自分はどんな絵を描きたいと思っているのか」を具体的に考えること。一口にイラストといっても、見る人や使われる機会の違い、タッチや画風の違い、モチーフが実在する物なのか空想上の物なのかなどによって、さまざまな需要があります。どんな絵を描きたいかを知ることが、より自分に合った分野選びにつながると思います。
株式会社宏和デザイン勤務/イラストレーション科/2015年3月卒/2015年4月株式会社宏和デザインに入社。現在はチーフイラストレーターとして従事。冊子やカタログに使用されるカットイラストをはじめ、パッケージ・雑貨用イラスト、機器説明図、医療用手技、キャラクター制作など、多岐にわたり手掛ける。シンプルなデフォルメイラストから、綿密に描き込むリアルイラストまで、幅広いタッチが描けることを強みとしている。経験を積み重ね、クライアントの要望に併せて様々なタッチをかき分けられるイラストレーターを目指している。