アニメのキャラクターに「動き=芝居」させる仕事を担当しています。静止画であるマンガとは異なり、「動き」があることがアニメの特徴。その動きをいかに自然に、魅力的にしていくかがこの仕事の難しさであり、やりがいでもあります。人間である役者さんに演じてもらうのではなく、「絵」であるキャラクターを動かして芝居をつくりあげていく仕事は、本当に奥深い。自然な動きを取り入れるために、日常生活においても「人」の動きを観察し、リアルさを表現できるよう努力しています。たとえば電車の中、居酒屋で飲んでいるときなど、何気ない日常のなかの「人」の動作を観察することで、日々新しい発見がありますね。
絵が好きで、将来は絵を描く仕事がしたいと思っていました。大学はメディア系に進んだのですが、想像していた学びとは違っていたんです。卒業後は絵とはまったく異なる仕事をいくつか経験しながら、やっぱり絵を学びたいなと思い、専門学校へ。もともとはイラストかマンガを学ぼうと思っていましたが、そこで初めてアニメーションと出会い、学ぶうちにその面白さにどんどんはまっていったんです。絵に関する職種は想像している以上にたくさんあり、私の場合、アニメと出会うことで一生の仕事が見つかりました。少しだけ遠回りはしましたが、「絵が好き」という気持ちを持ち続けたからこそ、自分の道を見つけることができたと思います。
専門学校でアニメーションの楽しさを実感できたことが、私にとっての大きな転機となりました。学びを通して心から好きなものと出会い、仕事につながる感覚を養うことができた貴重な2年間だったと思います。また、先生方からは、コミュニケーションの大切さ、プロとして仕事を続けることの厳しさも教えていただきました。なかでも、人の意見を聞くこと、自分の意見を伝えることの重要性を学べたことは、今、日々の仕事のなかでとても役立っています。アニメーターって、黙々と一人で作業をしているというイメージがあるかもしれませんが、実はチームでつくり上げていくことが欠かせない仕事なんです。
有限会社ゼクシズ 勤務/東京デザイナー学院 アニメーション科アニメーション専攻(現・東京クールジャパン アニメ総合学科)/2013年3月卒/24歳のとき、東京デザイナー学院のアニメーション科(現在は東京クールジャパンのアニメ総合学科に移管)に入学。卒業後はアニメ制作会社に入社、これまでに『惡の華』『少年ハリウッド』『舟を編む』などの制作を担当。「アニメーターはフリーで仕事をする方も多いですが、会社に入ってチームでひとつの作品を作り上げていく過程も楽しいですよ。アニメ業界は人が財産。多くの人にアニメの仕事の楽しさを伝えていきたいです。ゆくゆくは、キャラクターデザインの仕事にもチャレンジしたいと思っています」。