建築物の設計とは、カッコよくデザインすることをイメージする方も多いと思いますが、見た目のカッコよさを追求するだけでは必要とされる建築物を作ることはできません。というのも建築物とは、人がいて、人に使われるために存在するものだからです。そこにどんな行為・行動があり、どうすれば快適に使えるかを考えながら空間作りをしていくことこそ、設計の仕事には欠かせない思考だと私は考えています。そうした思考力を養うために必要なのが“観察力”。電車に乗っているとき、人と話をしているときに「この人は何を考え、何を求めているのか」と考えるだけでも観察力は身につきます。設計士として仕事をするようになると、施主様と話をする機会が多くありますが、その際も「観察力」は施主様がどんな家を求めているかを引き出す力になるんですよ。
佐々木先生の授業では建築を予定している実在のお客様のご要望を伺って設計し、提出する課題にも取り組みます。卒業制作ではCADやBIMを使用して、実際に設計事務所が描いている「実施設計図」をまとめ、プレゼンテーションを行います。現在設計の現場で主流となっているBIMも使用できるスキルを得られることも、先生の授業ならでは。最終学年の現場は、学校というよりもまるでリアルな設計事務所のような雰囲気です。在学中からプロの設計士と同様の経験を積み重ねていくことで、卒業後に即戦力として活躍できる人材を育てます。
建築物は作り終えたときがゴールではなく、使い続けることで人とともに成長していきます。人に愛され使われるものに関わる仕事って楽しいですよ。実践的な学びを通じてプロになるための力を身につけていきましょう!
専門:建築設計、建築法規
略歴:横浜国立大学大学院修了。一級建築士。組織設計事務所、アトリエ系設計事務所を経て独立。共同・個人住宅を中心に、メディカルモールやオフィスビルなどの設計を手掛ける。2016年より中央工学校の専任講師に。設計士を目指したきっかけは、歴史の教科書で金閣寺や銀閣寺の写真を見てそのカッコよさに魅かれたからだと語る。著書に『図解 建築計画の知識』(オーム社、共著)がある。