建築設計事務所で図面作成や現場監理に携わっています。建築の設計ではその場所の歴史や環境、設計の依頼主、建築現場で作業する職人など、多くの要素が絡み合って一つの形を作っていきます。設計者にはそれらを公約して1つの回答を出すことが求められるため、私は土地の条件や歴史を調査し、設計と共に考えることや、様々な関係者と対話し、知見や考えを丁寧に聞き、まとめていくことを心がけています。設計者にとって自分の描いた線が多くの人の手によって具現化していくことは一番の喜びです。誰かの生活が豊かになる建築をつくるために、建築の考え方や作り方をもっと積極的に勉強し、技術や知見を深めていきたいです。
設計の授業で、私の提案に対して複数人の先生方から異なる意見をもらい、建築を考えるためには広い視野が必要だと感じました。それをきっかけに知識や視野を広げるために、授業内外を問わず先生方に様々な質問をし、友人と議論を交わしました。先生方が持っている建築に関する知識量や視野の広さには到底追いつくことはできませんが、常に新しい知識や考えを得ようとする意識が身につき、現在の仕事でも役に立っています。また、授業で提案内容がまとまらないときには、授業後に先生方に考えを伝え、大切にしている点を言葉にしてもらったことで、考えを整理する方法を学ぶことができました。
建築設計業界では、様々な状況を想像し、人が心地よく利用できる建築を追求する力が求められます。そうした力を育むために、まずは身の回りのものに興味を持ち、普段何気なくあるものにもじっくりと視線を向けてみてください。今まで気づかなかった新たな発見がたくさんあり、心地よい建築を考えるヒントを得ることができるはずです。また、「もっと知りたい」という好奇心が湧き、建築がさらに面白く感じられると思います。美術館や博物館など未体験の場所に積極的に足を運んだり、自分の住んでいる街をいつもと異なる視線で歩いてみたり、私はそうした習慣を通じて得られた情報や体験が建築を考えるうえで役立っています。
株式会社 小山隆治建築研究所勤務/I部建築学科/2020年3月卒/大阪工業技術専門学校で2年間の課程を修了し、滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科に編入学。同学を卒業後、現在に至る。幼い頃からものづくりが好きで、工業高校のときに建築アイデアを競う大会に参加し、まだこの世にないものをつくる楽しさを体験したことがきっかけになり建築士を志す。大阪工業技術専門学校の卒業制作では、自分の地元をテーマにした建築を提案。街の地形には、戦前からの発展の痕跡が残っていることや、それが上手に活かされていないことを知り、多くの気づきを得たと話す。