農作物を育てる難しさや苦労を知ることで、自然の恵みの“有難さ”を実感できる |
水田に足首まで浸かり、苗を植えていく生徒。大地と向き合う眼差しは真剣そのものですが、背にそそぐ陽光が自然に笑みを引き出します。これは新宿調理師専門学校で行っている『農体験授業』です。5月の田植えから9月の稲刈り、11月の新嘗祭(にいなめさい)にいたるまで、生徒が提携農家で米づくりを実践。実りへの感謝を込めて行う新嘗祭では、収穫物を皆で調理して美味しくいただきます。「天地の恵みと農作業の手間を知るとともに、収穫物への感謝の気持ちを育むことが授業の目的です。農家の方々の苦労を知ることで、食材を無駄にしないという気持ちが醸成されます」と、専任講師の角田考平先生。生徒からは「自然のありがたさと農家の方の苦労を実感した」「食材を使い切ろうという気持ちになった」などの声が聞かれるそう。「体験にまさる教育はありません。授業を通して顔つきが変わる生徒を何人も見てきました」 |
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人間性と技術を磨き、食卓に笑顔の花を咲かせる |
人として成長することを、同校ではとても大事にしています。そうした教育の二本柱になっているのが、挨拶や返事、掃除などの徹底指導と農体験授業です。「就職後の現場で大切になるのは、教えてあげたいと思わせる人柄であること。そのためにも、“調理師である前にマナーが身についた社会人であれ”という思いが根幹にある」といいます。「それに加えて、謙虚な気持ちで食材と向き合う人になってほしいと願っています。食材を農家の方々が育み、物流や小売店などの多くの人の手のお陰で農作物は届きます。それらへ最後に手を加えて、お客様へお出しするのが調理師の仕事。そうした背景を理解し、謙虚な気持ちで食材と向き合ってほしいのです。料理には人間性が出ます。食卓に笑顔の花を咲かせるには、技術と人間教育の双方が不可欠です」 |
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