私自身がアパレル業界で20年にわたりキャリアを積んできた経験から、この仕事の醍醐味や楽しさを学生たちに伝えていきたいと思っています。学生たちは皆ファッションが好きでこの学校に入学してきます。そんな彼らにとって卒業後に好きなことを仕事にできる喜びは大きく、私服でファッションを楽しむことも、仕事に活きる重要な要素になることでしょう。2年次から増えるグループ制作は、社会人になる前の予行練習でもあります。自分のやりたいことと相手のやりたいことが違っていたり、それぞれのスピード感が違っていたり…。最初はスムーズにいかない場面も多いかもしれません。でも、実際に企業に入るとチームや事業部単位でプロジェクトは動くものです。相手への気遣いや自分の思いを相手に伝える大切さを、ここで学びとってほしいと考えています。
2年次以降は「デザインや縫製が自由になるほど教科書に載っていない知識が必要になる」と関先生は語る。「本来はそこを経験で補えばよいのですが、経験がないうちは実際に手を動かして地道に経験を重ねるしかありません。だから学生たちには、失敗を恐れずにまず組み立ててみようと言っています」。先生は一人ひとりの作業に目を配りながら、学生自身の力で答えに辿り着けるよう丁寧に指導をしてまわる。「完成品はボディに着せて教室に飾り、全員に見るようすすめています。人の作品を知れば、それだけ自分の引き出しも増えますからね」
何事も「なぜ?」と思う好奇心を、ぜひ持ち続けてください。ここから知識が広がり、知った時の感動を人にも伝えることで次へとつながります。そしてこの積み重ねが経験となり、未来のあなた自身をつくってくれます。
織田デザイン専門学校(現・織田ファッション専門学校)卒業後、イトキン株式会社入社。パタンナーとしての20年のキャリアを経て現職。