ひとつのプロジェクトにかかわると、住宅の新築であれば、設計から始めて建物が完成するまで最低でも1年以上を要します。長いスパンをかけて、少しずつ形になっていくのを間近で感じられることが、この仕事の醍醐味だと思います。1年の間にはいろんなことが起こります。もちろん、思うように進まないことも少なくありません。だからこそ、完成したときには、そんな記憶が一つひとつ鮮明に蘇り、感慨深いものがあります。そして、最後には、施主様の喜ぶ顔が待っているわけですから、こんな幸せな仕事はありませんね。
昔から建築を見るのが好きで、高校卒業後の進学の際も、建築業界にしか興味はありませんでした。ただ、本当の意味で建築の面白さを知ったのは、京都建築大学校ですごした4年間だったといえます。設計することの楽しさを感じ、4年次には新たにゼミが開設され、卒業設計やコンペなどを通して、楽しく建築を学んでいました。自然と「この仕事で一生やっていきたい」と決心したのもこの頃です。在学中に二級建築士の資格を取得することを目指して、勉強に励んでいた日々も懐かしく思い出します。
どんな業界に進んでも、楽のできる世界はないと思いますが、とくに建築業界は大変だと思います。しかし、その一方で、建築士は非常にやりがいがあって、これ以上楽しい職業もないと思います。もし、建築士に興味があるなら、今から建物をスケッチしてみるのもよいでしょう。将来必ず役に立ちます。スケッチすることで、建築の細かい部分にまで目が行くようになり、建築の見方もどんどん進歩するはずです。
株式会社 一級建築士事務所 STUDIO MONAKA共同代表/建築科・専科(現・建築専攻科)/2010年3月卒/卒業後、一級建築士資格を取得。京都建築大学校の同級生たちと一緒に、建築設計事務所を開設。実際に建築士として働いて実感するのは「様々な方とかかわることができ、視野が広がる」ことだという。