カプコンの中で企画担当だった頃、『モンスターハンター ポータブル』について自分なりのプランを考え、企画書にまとめてプロデューサーに読んでもらったら、「じゃあ、おまえがディレクターをやれ」と。ですから、日本ゲーム大賞2006の特別賞をいただいた同作が、ディレクターとしてのデビュー作なのです。クリエイターとしての「勘」と、会社の方針とが、ちょうどいいタイミングで一致したわけですね。仕事って、人と人とのコミュニケーションじゃないかと思うんです。意見と意見がぶつかって、いいものができていく。このチームも、開発者同士はもちろんですが、営業管理部門などとも社内連携が素晴らしく、それが大きな魅力といえます。
高校3年の夏ごろから、漠然とゲーム関係の業界に進みたいと考えはじめました。それで大学受験から進路を変えて、専門学校を探し、HALに入学しました。HALは自由な感じで、学生と先生の距離が比較的近いところも良いと思いました。授業では、業界の第一線のプロを招いたスペシャルゼミの影響もかなり大きかったですね。現役クリエイターの講義を聞き、それまでは漠然と『面白いもの』としか捉えていなかったゲームについて、『なぜ面白いのか?』と考えられるようになりました。就職担当の先生が熱心にいろいろと相談にのってくださったのも良かったですね。学校へ通う最終目的は就職することだと思いますので。
夢は、ユーザーが何年経っても熱く語れる作品を残すこと。『あのゲーム、面白かったな…』と言ってもらえる作品が創りたいです。僕自身、今でも熱く語れるゲームといえば、やはり子供の頃に遊んだゲームですから。その意味で『モンスターハンター』が、より多くのユーザーの方に楽しんでもらえたらいいなぁと思っています。ゲーム開発を学ぶ学生たちには、学生生活のうちに、たった一つでよいので、自分の『武器』となりえるものを持てるようになってくださいと言いたいです。絵でも音楽でも、映画の知識でもスポーツでも、なんでもよいです。それさえあれば、社会のどんな場に出ても、自分を十分表現することができると思います。
株式会社カプコン勤務/マルチメディア学科(現:ゲーム4年制学科 ゲーム企画コース)/1998年3月卒/HAL卒業後、カプコンに就職。企画担当として『ストリートファイターIII 3rdストライク』『バイオハザードアウトブレイク』など、数々の人気ゲームに携わる。ゲームディレクターとして「モンスターハンターポータブル」以降、モンスターハンターの携帯機シリーズを担当し、日本ゲーム大賞を複数回受賞。内製のゲーム開発エンジン「RE ENGINE」を活用し、ビジュアルのクオリティを保ちながら、シームレスなフィールドでよりアクション面を強化するという難しい仕様に挑戦した「モンスターハンターライズ」は世界中で大ヒットを記録した。