みなさんは、学生のうちに、流行のお菓子をつくる応用技術を身につけるべきだと思いますか?私は必ずしもそうだとは思いません。流行は変わっていくし、応用技術は経験を積めば得られるからです。私がみなさんに学んでほしいのは、お菓子づくりの基本と、その心構えです。あらゆるお菓子づくりに共通する基礎技能、材料の知識、器具の使い方など、基本がしっかり身についている人は、流行が変わっても、働く場所が変わっても、臨機応変に対応できます。そして、「レシピ通りに、時間内につくろう」ではなく、「おいしいお菓子をつくりたい」「食べる人の笑顔が見たい」という心構えを忘れなければ、より魅力的なお菓子ができるはずです。在校中にこれらを学ぶことで、みなさんが卒業後にぐんと成長し、10年後も20年後も活躍し続けることを願っています。
実習では、お菓子の出来よりも、チームワークの出来を評価するという佐々木先生。しぼりの美しさなど、個人の練習でカバーできるところはもちろん指導しますが、それだけでなく、先生は「お菓子のレシピではなく、チームで動く方法を学んでほしい」と語ります。また、授業中は、学生の態度についても細かく注意をするとのこと。「新人は技術で勝負できません。誠実な態度であれば、先輩にも気に入られ、チャンスがもらえるはず」。学生の活躍を願い、熱心に教える佐々木先生。学生も、良い緊張感をもって実習に臨んでいます。
「私は○○しか興味ない」という考えは捨てて、関心がないことにも挑戦してみてください。自分の世界や可能性を広げることができますよ。まずは、アンテナを広くはり、さまざまな情報を集めることから始めましょう。
専門:フランス菓子 大阪府出身。2003年辻製菓専門学校卒業後、出身校である辻製菓に就職し、教員としてのキャリアを積む。2012年~2014年はフランスに滞在。カンヌにあるパティスリー「Intuitions by J」で研修後、辻調グループフランス校に勤務した。製菓の道を選んだのは、高校生のとき。人の幸せに関わるお菓子の世界に憧れを抱き、泣きながら両親を説得した。学生時代は「好きなことばかり学べて楽しかった」とふり返る。