病院薬剤師として、入院・外来の調剤監査や入院患者さんの薬物治療に関する種々の業務を行っています。国際病院の特徴として、外国人患者さんが受診する機会が多く、英語での服薬指導も少なくありません。薬剤師はただ薬を用意するだけではなく、患者さんとの双方向のコミュニケーションが大切になる仕事です。どんなに良い治療でも、患者さんに信用してもらえなければ続けてもらうことは困難になります。説明の途中でも、患者さんが何か言いたそうにしていれば「どうされましたか?」「お辛いことがありましたか?」と傾聴するようにしています。医療者の話を遮ってでも口に出してくださることは、きっと最も聞いてほしいことなのだと思います。
幼少期、小児喘息で吸入薬を使用していました。服薬指導を受けた際に、薬剤師の方が副作用についても説明していて、子どもながらその機序を理解したいと思ったことがあり、中学生の頃には薬剤師が将来の目標になっていました。大学選びでは、父とオープンキャンパスに出向き、実際の雰囲気や通学など6年間通うことができるかを念頭に置いて見学を重ねました。明治薬科大学に進学した決め手は、5年次に6か月間の病院研修が行えるなど、在学中から将来に向けて実践的な実習が行えることでした。現在の職場は、様々な分野の専門薬剤師が在籍しており、メンターとなる先輩方が豊富であることが魅力で志望しました。
学生時代はすべての教科に興味を持って、楽しくなるまで勉強を続けるうちに、新たな問題点の発見や教科書への疑問など能動的な学びが身についていました。実習ではより多く臨床経験を積めるように、指導薬剤師の先生方へ身につけたいことを積極的に発信するようにしていました。例えば薬物治療学の授業は教科書的な勉強が中心でしたが、内科学や診断学、臨床検査など一見薬学とは異なる分野に関する知識が理解を助けてくれることもあり、大きな発見がありました。臨床経験のある先生が現場でも通用する知識を教えてくださったことや、先生方が時間外の質問にも親身になって対応してくださったことは、今でも有り難く思っています。
聖路加国際病院 勤務/薬学部 薬学科/2020年卒/「同級生は真面目な人が多く、休み時間などは授業で納得できないところや理解が難しいところをお互いに教えあい、切磋琢磨できる雰囲気でした」と学生時代を振り返る鈴木さん。「集中治療域の病棟薬剤業務を担うため、クリティカルケアについても見識のある薬剤師を目指したいです。また、医師のパートナーとして信頼されるように日々知識を蓄え、臨床経験から実践知を培っていきたいです」と今後の抱負を語ってくれた。