専門分野の研究活動の他、多職種連携、在宅医療の科目の開設、運営に取り組んでいます。在宅医療では服薬指導にとどまらず、患者の体調急変に対応する能力、バイタルサイン(血圧・脈拍・体温など)や生活環境から病因を推測し治療をサポートできる能力が求められます。これに応えられるよう、2017年から開講している「医療福祉活動演習(在宅)」では、様々な科目の知識を関連づけるのに有効な「症候学」を取り入れたほか、本学卒業生を中心に在宅医療で活躍中の特別講師陣を揃えました。知識と技術、心構えを身につけ、後半には北海道医療大学地域包括ケアセンターの訪問看護師に同行、利用者さん宅の訪問を組み込みました。最大限の効果を狙い、看護師1人に同行学生は1~2人。今後も、授業のブラッシュアップ、領域の拡大を進めていきます。
「医療福祉活動演習(在宅)」は、在宅医療の概要、一次救急救命処置、バイタルサイン測定法、「症候学」と進みます。「症候学」では、例えば頭痛を訴える患者さんにはどんな病気が推測されるか、どの治療薬を提供するか、受診を勧めるかをグループワークで考えます。病名からスタートすれば症状を答えられる学生も、その逆の「頭痛がある病気を30挙げなさい」には手こずるのです。そして、在宅医療へ理解が深まったところで行う訪問看護同行は学生にもインパクト大。「なぜ薬剤師が必要なのかがわかった!」の声が続々です。
かつて対物業務だった薬剤師の仕事は、患者さんと直接コミュニケーションを取り、健康維持や病気の回復に関わる対人業務へ大きく変化しました。在宅医療の薬剤師はまさに新しい薬剤師の姿、やりがいも大きいです。
北海道医療大学1986年卒業後、同大学院に進み、同薬学部助手に。カリフォルニア大学(アーバイン校)特別研究員、同薬学部講師を経て、2014年より現職。専門分野の研究テーマは「神経変性疾患と病態マーカー」。パーキンソン病に関わる血中の生理活性物質の正常範囲を探っています。確定できれば、認知症など他の病気との区別がつきやすくなり、パーキンソン病の早期診断が可能になるという臨床に直結した研究です。