地盤工学を専門として、特に地震や豪雨による土砂災害に関する研究を行っています。遠心力を重力に見立て、小さな縮尺模型でも実物と同じ応力条件にできる「遠心模型実験装置」を使い、土砂災害の現象を把握し、対策工法を考えてその効果を確認をしています。模型実験のメリットは、実物では崩壊できないものを崩壊させられることです。崩壊に至る過程をビデオやセンサーなどで観察・計測すれば、なぜ壊れてしまうのか、どうすれば壊れないのかを直接的にイメージできます。現在この遠心模型実験装置を使って、降雨時の斜面崩壊とその対策工法の開発、斜面安定対策工法の一部である地山補強土工法の補強メカニズムの解明、老朽化した擁壁の地震時の挙動などについて、国の研究機関や民間企業と共同して現場に直結した研究を行っています。
地盤環境工学研究室では2名の教員体制で学生一人ひとりの研究テーマについて指導しています。「遠心模型実験装置を用いた実験以外でも、自然災害リスク指標の開発など国土強靱化に関連するテーマや液状化対策に関するテーマにも取り組んでいます」。伊藤先生は労働安全衛生総合研究所(現・労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)で12年働き、労働災害の原因調査と防止に努めた経験があります。「災害事例を紹介すると学生の目の色が変わります。ゼネコンや役所で働くときに思い出し、安全意識を高めてほしいと考えています」。
都市工学(土木工学)は英語でCivil Engineeringと標記されます。市民のための工学です。世界でもまれな災害大国である我が国の市民を守るために、私たちと一緒に研究に取り組みませんか。
武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部土木工学科卒業。同大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程修了。東京工業大学大学院理工学研究科土木工学専攻博士課程修了。(独)労働安全衛生総合研究所主任研究員などを経て2015年東京都市大学工学部都市工学科准教授。2019年東京都市大学総合研究所インフラ維持管理と災害制御に関する研究センター センター長、2020年より東京都市大学建築都市デザイン学部都市工学科教授