研究テーマは公民連携による公共空間のデザイン・マネジメントです。建築学科の学生時代から公共空間に興味があり、「東京で広場になる場所は駅だ」と考えてJR東日本に就職。東京の駅ビルの企画を行っていました。広場をデザインするには外部空間の設計を学ばなければと考えて米国の大学院に留学。ボストンの設計事務所で実務に携わりました。次第に「公共性とは何か?」という疑問が深まり、英国で研究を進め博士号を取得し研究者となりました。その後国土交通省や地方自治体の審議会や委員会に参加し、実社会のパブリックスペースの計画手法などを探求しています。英国の景観マネジメントの研究に続いて、公民連携による公共空間のデザイン・マネジメントが進んでいる英国や米国の取り組みについて、研究成果を書籍にまとめています。
坂井先生のエリアマネジメント研究室では、実社会との関わりを体験してもらうために民間企業や自治体に対して学生が提案する場を設けています。たとえば、都市開発に関わる企業に対してエリアの価値を高めるためのプロモーションを考えてイベントの企画案を発表したり、自治体に対してあるエリアの課題を学生目線で発掘し、課題解決のための提案をしたりしています。「雨の日の集客力をアップするために、スマホVRアプリでショーウィンドウを“水族館”にするなど現代の若者らしいアイデアをもとに企画提案し、好評をいただいています。」
国際都市として発展を続ける東京で様々な課題に挑み、まちづくりに携わる機会はとても貴重です。日本のみならず世界の都市を題材にまちづくりを勉強し実践に関わる経験は、アジアをはじめ世界で活かせるでしょう。
横浜国立大学工学部建築学科卒業。ハーバード大学デザイン大学院ランドスケープ修士。ロンドン大学PhD。一級建築士。JR東日本で駅ビル開発に携わり、米国ササキ・アソシエイツにてランドスケープ計画・設計に携わる。北海道大学大学院工学研究院准教授を経て現職。国土交通省、内閣府、スポーツ庁や自治体の都市計画、公園緑地、景観、地方創生等に関わる委員会に参加。著書に『クロノデザイン』(内藤廣編、彰国社)など。