物理学で解き明かす宇宙の謎

理工学部 物理学科 教授 岩本 弘一
夏の夜空には、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブという三つの星がひと際明るく輝いていて、夏の大三角を作っています。空が暗い場所では、そのすぐそばに美しい天の川を見ることができます。ベガは織姫、アルタイルは彦星です。ベガやアルタイルは青白く光る太陽に似た恒星ですが、デネブは太陽より20倍も重く半径も太陽の数百倍という大きな星です。恒星の進化理論によれば、デネブはやがて赤色超巨星になり、数千万年後には超新星爆発を起こし、中性子星やブラックホールを形成すると考えられています。はくちょう座にはX-1というX線で明るく輝く天体がありますが、これは代表的なブラックホール候補天体の一つです。冬の夜空にも冬の大三角という三つの星がありますが、その一つはオリオン座のベテルギウスです。ベテルギウスは既に赤色超巨星になっていて、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくないと推測されています。このように、宇宙には太陽のような普通の恒星が多数ある一方で、中性子星やブラックホールなどの特異な天体が存在すると考えられています。また、ダークマターと呼ばれる光で観測されていない物質や、宇宙の加速膨張の原因とされるダークエネルギーなど、多くの謎に満ちています。宇宙物理学では、相対性理論をはじめ、素粒子、原子核、プラズマなどの物理学を用いてこれらの宇宙の謎に挑みます。
天文、宇宙に興味がある方、日本大学理工学部で一緒に学びませんか。
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日本大学 理工学部 物理学科
日本初のノーベル賞受賞者湯川秀樹博士の進言により設立。素粒子論や宇宙物理、大型装置による核融合研究などを推進