カナダからアラスカの山岳地帯には、ヤナギラン(英語名ファイヤーウィード)の花が咲いていることがあります。山火事で森林が燃え尽きた後、最初に群落をつくり開花する植物として、この名前がつけられました。つまりこの花は、豊かな森林が焼失した徒花ともいえるのです。現在、北米やシベリアなど高緯度の森林では、落雷などが原因の火災が想像以上に発生しています。これは熱帯雨林の消失以上に、地球環境に大きな影響を与えかねません。気温の低い高緯度地帯の森林は、熱帯に比べて再生が遅く、また高緯度の湿地帯にある泥炭は、火災で燃えると大量の二酸化炭素を放出するからです。私はこうした事態を危惧。人工衛星を使った「リモートセンシング」の技術により、森林の植生や消失状況などを地球規模でモニタリングする研究を続けています。
串田先生は「実習科目においては、みんなでどのように協力し、成果を上げていくか、そういった力をつけることが教育上の大きな目標となっている」といいます。一方、研究室の学びでは、興味を持ったことを探求する仕方と、それを他人に伝える表現力やプレゼンテーションの力を重視しています。こうした能力は大学での研究だけでなく、今後の仕事や社会貢献でも広く役立つものと先生は考えています。
社会が多様化し、多くの情報を基にして仕事、生活、社会貢献をする時代。理系の考え方、環境や生物への探究心は、ますます重要になっています。皆さんが興味を持って学び、広く社会で活躍することを期待しています。
東京大学農学部農業工学科卒業、東京大学農学生命科学研究科農業工学専攻博士修了、日本学術振興会特別研究員、北海道大学低温科学研究所助手、同助教、富山大学極東地域研究センター准教授、日本大学生物資源科学部教授。博士(農学)。