花壇や鉢植えで人気のペチュニアには、背丈をコンパクトに抑えるため、生長などに関わる植物ホルモン・ジベレリンの作用を止める植物成長調整剤(わい化剤)が使われます。ところがこの薬剤で処理すると、花の模様(二色以上の色からなる複色模様)が、なぜか安定しなくなる場合があるのです。このことから私は、ジベレリンが複色模様の形成にも関係しているのではないかと推測しました。これまでの研究により、確かにジベレリンが関与している点や、花の色素を合成するための遺伝子の働きなどを解明。今後は、詳しい制御メカニズムを明らかにし、意図的に模様を出せないか、さらなる研究を進めています。ハートや星形などの模様が自由につくれるようになれば、花を使ったコミュニケーションの可能性がもっと広がるのではないでしょうか。
大学の学びは、自分自身で体験し、物事を考えることこそが本当に重要であるという東先生。実習では種を播くところから収穫するまで、すべての管理を学生自身に任せています。熱心に観察すると栽培管理のちょっとした違いで、植物は明らかに違う姿になることがわかりますし、植物種によっては教科書とは逆の現象が起こることも発見できます。そういった現象に対し、なぜだろう?植物の中で何が起きているのだろうと、疑問や興味を持ち、情報を整理して、自分で思考するきっかけをつくれるように気を付けているといいます。
興味のあることに一生懸命向かっていけば、誰にでも何かの「第一発見者」になるチャンスが必ずあると思います。植物の謎を解明し、暮らしを豊かにするために、ぜひ私たちと一緒に挑戦してみませんか。
日本大学生物資源科学部植物資源科学科卒業、名古屋大学大学院生命農学研究科修了、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜花き研究部門花き遺伝育種研究領域品質育種ユニット 任期付研究員、日本大学生物資源科学部助教。博士(農学)。