神奈川県藤沢市にある新江ノ島水族館の飼育員として、イルカなど海獣類の飼育に携わっています。業務内容は多岐にわたり、日常的な給餌や健康管理などはもちろん、イルカショーに必要なトレーニングや、「イルカのおにいさん」としてショーへの出演も行っています。言葉が通じない動物とのトレーニングは何かと大変です。またショーに備え、私たち自身も発声や動作などのトレーニングを積まなければなりません。人前でのおしゃべりが少々苦手だった私は、出演が認められるまでずいぶん苦心しました。しかし、大好きな動物たちと一緒にショーを成し遂げ、お客様の笑顔を見ることができたときは、本当に嬉しく苦労も報われます。
水中カメラマンだった父の影響もあり、幼い頃から海が大好きで、生き物を採集をしては自宅で飼育していました。また、当時から将来水族館で働くことを希望していました。水族館という舞台は老若男女問わず大勢の方が訪れ、海や生き物のことを伝え、興味を持ってもらえる場所だと考えたからです。そのために進学先も、生物資源科学部を選びました。在学中は新江ノ島水族館で運営スタッフとしてアルバイトもしていたんですよ。その時は我々スタッフも展示物の一部だと自覚して業務に取り組み、求められた一歩先を行くサービスの提供や、積極的なお声がけができるよう、お客様をよく観察することを学びました。
当面の目標は、10年以上ショーに出ていないお母さんイルカと一緒にショーに出演することです。この個体は昨年男の子の赤ちゃんを出産したので、親子そろってショープールで活躍している姿がぜひ見てみたいと思っています。いつか叶えたい目標は、より「リアルにこだわった水族館」をつくりたいということです。大水槽に海藻を展示したり、館内を海の中のように装飾をしたりして、まるで「海」にきたようだ、そう感じられる水族館を演出してみたいですね。他にも近隣の漁協と連携して水族館で海産物を販売してみるなど、興味を持っている事柄や、やってみたい企画はたくさんあります。
新江ノ島水族館 展示飼育部 海獣類チーム 勤務/生物資源科学部/2015年卒/水族館は募集も少なく、飼育員も狭き門であることはよく知られていますが、夢を諦めず、「一番入りたかった」という地元の新江ノ島水族館に就職した伴野さん。イルカたちの飼育にトレーニングに、忙しい毎日を送っています。コロナ禍によって来館者も若干減っていますが、「こんな時代だからこそ、イルカショーで子どもたちに勇気を届けたい」と、伴野さんは考えています。最近休日にハマっているのは、2年前から始めたという釣り。また、楽しみながらリズム感を養うため、電子ピアノやフルートにも取り組んでいるそうです。