工学技術の応用!~人間支援機器の開発研究~
理工学部機械創造工学科 新関 良樹 教授
ー新関教授の研究内容について教えてくださいー
ターボ機械に関する基礎研究を行っています。ターボ機械とは、回転によって流体エネルギーと機械エネルギーのやりとりをする熱・流体機械で、身近にあるものとしては、自動車のターボチャージャや飛行機のジェットエンジンなどがあります。小さなものから非常に大規模なエネルギーのやり取りをするものまで幅広く対応が可能なことがターボ機械の特徴です。特に発電の分野で、火力発電で用いられるガスタービンや蒸気タービンはもとより、自然エネルギーを用いる水車、風車などのターボ機械は一般に規模が大きいので、0.1%の効率向上でも、コストや環境負荷低減に非常に大きなインパクトがあります。
私自身、元々メーカーで発電関係の回転機械(タービンや発電機など)の開発に携わっていたこともあり、ターボ機械でも発電に供するものに関する機械に関連した基礎技術を熱・流体の面から研究することをターゲットにしています。
具体的には、①水車の性能向上に関する研究、➁蒸気タービンの湿り蒸気に関する研究、➂ガスタービン冷却翼に関する研究に取り組んでいます。いずれも国内の大手企業と連携しながら、企業では実施することが難しい基礎的な実験を中心とした研究を担当しています。それぞれについて簡単に説明します。
①水車の羽根車を出た後のドラフトチューブと呼ばれる部分について注目しています。ドラフトチューブは比較的単純な形状の流路ですが、羽根車の後流の影響や出口の編流などの影響を受けた複雑な流れをとなるため、数値解析による予測精度向上が課題となっています。このため、高性能な機械の設計手法を確立するために解析精度を向上するためのデータを収集しています。
②後述するコンバインドサイクルや地熱発電などでも用いられる蒸気タービンの出口に近い部分では蒸気の湿り度が高くなり、蒸気に多量の水滴が混じった状態で作動しています。このように気体と液体が混じった状態を二相流と呼びますが、蒸気タービン内の水滴は損失を増大させたり、機械の部品を侵食して深刻なダメージを与えたりする厄介ものです。水滴は蒸気タービンの壁面にぶつかると集まって水膜を形成しますが、これをうまく外に導くことで損失やダメージを回避することが行われています。このような流れは数値解析でも正確な予測が難しいため、気相と液膜が混在する流れ場の挙動についての実験を行って、解析精度向上に供するデータを集めています。
③クリーンな天然ガスを用い、60%以上と非常に高い発電効率が得られるコンバインドサイクル(ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたサイクル)は、今後燃料として炭素フリーの水素が導入されるようになっても火力発電の中心となります。その一方のキーコンポーネントであるガスタービンは、タービン入口ガス温度が高いほど効率高く、その温度は現在1700℃と金属が融ける温度をはるかに上回る温度に達しようとしています。これを実現しているのが冷却技術です。我々はラティス構造と呼ばれる他にあまり例を見ない冷却構造に着目して,冷却流体の流れと伝熱特性の関係について調べています。
ーどのような分野に役立ちますか?ー
脱炭素が急務となっています。直接自然エネルギーを利用する水力発電などのターボ機械の高効率化についても注力していますが、緯度が高く、気候変動が大きな日本は、全ての電力を合理的なコストで自然エネルギーから得ることは非常に難しい状況にあります。また、自然エネルギーは必要な時に必要な発電量が得られないという大きな問題もあります。このため、いろいろなエネルギーリソースをうまくミックスして活用していくことが必要です。燃料を石炭からより低炭素な天然ガス、さらに燃焼しても二酸化炭素が発生しない水素に切り替える、あるいは、地熱や太陽熱を活用することを進めるとともに、これらの熱エネルギーを上手に利用できるようする、そのためにもターボ機械の高効率化が不可欠です。また、ターボ機械は発電以外にも航空・宇宙や環境・衛星など幅広く適用可能な研究ターゲットです。
さらに、我々の研究の特徴として、それぞれのテーマに対して独自の計測技術を開発、適用している点があります。一例をあげれば、同じキャンパスの保健福祉学部と連携して本学が有する医療用のMRIを3次元速度場計測に応用するとして他にほとんど例の無い取組みを行っています。このような計測技術についても様々な分野へ発信・応用できると考えています。
ターボ機械に関する基礎研究を行っています。ターボ機械とは、回転によって流体エネルギーと機械エネルギーのやりとりをする熱・流体機械で、身近にあるものとしては、自動車のターボチャージャや飛行機のジェットエンジンなどがあります。小さなものから非常に大規模なエネルギーのやり取りをするものまで幅広く対応が可能なことがターボ機械の特徴です。特に発電の分野で、火力発電で用いられるガスタービンや蒸気タービンはもとより、自然エネルギーを用いる水車、風車などのターボ機械は一般に規模が大きいので、0.1%の効率向上でも、コストや環境負荷低減に非常に大きなインパクトがあります。
私自身、元々メーカーで発電関係の回転機械(タービンや発電機など)の開発に携わっていたこともあり、ターボ機械でも発電に供するものに関する機械に関連した基礎技術を熱・流体の面から研究することをターゲットにしています。
具体的には、①水車の性能向上に関する研究、➁蒸気タービンの湿り蒸気に関する研究、➂ガスタービン冷却翼に関する研究に取り組んでいます。いずれも国内の大手企業と連携しながら、企業では実施することが難しい基礎的な実験を中心とした研究を担当しています。それぞれについて簡単に説明します。
①水車の羽根車を出た後のドラフトチューブと呼ばれる部分について注目しています。ドラフトチューブは比較的単純な形状の流路ですが、羽根車の後流の影響や出口の編流などの影響を受けた複雑な流れをとなるため、数値解析による予測精度向上が課題となっています。このため、高性能な機械の設計手法を確立するために解析精度を向上するためのデータを収集しています。
②後述するコンバインドサイクルや地熱発電などでも用いられる蒸気タービンの出口に近い部分では蒸気の湿り度が高くなり、蒸気に多量の水滴が混じった状態で作動しています。このように気体と液体が混じった状態を二相流と呼びますが、蒸気タービン内の水滴は損失を増大させたり、機械の部品を侵食して深刻なダメージを与えたりする厄介ものです。水滴は蒸気タービンの壁面にぶつかると集まって水膜を形成しますが、これをうまく外に導くことで損失やダメージを回避することが行われています。このような流れは数値解析でも正確な予測が難しいため、気相と液膜が混在する流れ場の挙動についての実験を行って、解析精度向上に供するデータを集めています。
③クリーンな天然ガスを用い、60%以上と非常に高い発電効率が得られるコンバインドサイクル(ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたサイクル)は、今後燃料として炭素フリーの水素が導入されるようになっても火力発電の中心となります。その一方のキーコンポーネントであるガスタービンは、タービン入口ガス温度が高いほど効率高く、その温度は現在1700℃と金属が融ける温度をはるかに上回る温度に達しようとしています。これを実現しているのが冷却技術です。我々はラティス構造と呼ばれる他にあまり例を見ない冷却構造に着目して,冷却流体の流れと伝熱特性の関係について調べています。
ーどのような分野に役立ちますか?ー
脱炭素が急務となっています。直接自然エネルギーを利用する水力発電などのターボ機械の高効率化についても注力していますが、緯度が高く、気候変動が大きな日本は、全ての電力を合理的なコストで自然エネルギーから得ることは非常に難しい状況にあります。また、自然エネルギーは必要な時に必要な発電量が得られないという大きな問題もあります。このため、いろいろなエネルギーリソースをうまくミックスして活用していくことが必要です。燃料を石炭からより低炭素な天然ガス、さらに燃焼しても二酸化炭素が発生しない水素に切り替える、あるいは、地熱や太陽熱を活用することを進めるとともに、これらの熱エネルギーを上手に利用できるようする、そのためにもターボ機械の高効率化が不可欠です。また、ターボ機械は発電以外にも航空・宇宙や環境・衛星など幅広く適用可能な研究ターゲットです。
さらに、我々の研究の特徴として、それぞれのテーマに対して独自の計測技術を開発、適用している点があります。一例をあげれば、同じキャンパスの保健福祉学部と連携して本学が有する医療用のMRIを3次元速度場計測に応用するとして他にほとんど例の無い取組みを行っています。このような計測技術についても様々な分野へ発信・応用できると考えています。
この先生・教授に出会えるのは・・・
徳島文理大学 理工学部
物質工学・バイオ・機械工学・電子工学など幅広い分野が学べる!