高齢化が進み、「家族」の形が大きく変化する中で、介護や引きこもりといった福祉の新たな課題がクローズアップされています。こうした今日的な課題は、従来の考え方や方法だけでは解決できません。地域において誰が、どんな役割を担うのか、福祉専門職にはどんな専門性が求められるのか、専門職と地域住民とがどう連携していくべきか。それらをフィールドワークを通じて地域の人たちの声に耳を傾ける中で考えたり、ITなど先端技術の活用も見据えながら、問題解決の道筋を探るのが私の研究テーマです。具体的には、京都市北区の「中川学区」など中山間地域で住民の方を対象にしたヒアリング調査を実施。また経験豊富な福祉専門職のスキルを言語化、映像化するなど「見える化」し、次世代の担い手を育成する教育プログラムの開発にも取り組んでいます。
ゼミでは、クルマで40分ほどの距離にある「中川学区」に毎週出かけ、学生が住民の方のすまいを一軒一軒訪ねて、日常生活の中でお困りごとがないかをヒアリング。寄せられた声をレポートにまとめ、解決のために何ができるかを話し合います。「お隣近所と顔を合わせる機会が減った」という声を受け、ゼミ生が交流のための「サロン」を継続して企画しています。また行政と連携して近隣の地域計画づくりにも参加。教室を飛び出して現場を実地に体験し、そこで暮らす人たちから話を聞いて、一緒に解決するという手法を大切にしています。
福祉の専門知識や技術がなくても、地域に出かけ、地域の人たちから学ぶことで、福祉のためにできることがたくさんあります。頭で考えるばかりでなく、まずは挑戦すること。チャレンジ精神のある人を待っています。
立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学・立命館大学)。立命館大学産業社会学部、同じく薬学部実習助手、京都府立大学公共政策学部助教などを歴任。2016年から現職。中間支援NPOスタッフ、コミュニティFM番組製作スタッフなど、さまざまな方面で活躍。趣味は、愛猫と遊ぶことと韓流ドラマ鑑賞。社会福祉士。担当科目:ボランティア論/社会学演習/コミュニティデザイン演習/市民活動論など