セーリングヨットは、帆で風を受けて海上を進み、そのスピードを競う競技です。私は鳥取県庁職員として、高校生アスリートを育成する指導員と自身が大会に出場する選手という2つの顔を持っています。指導員としても選手としても、目指しているのは国民体育大会優勝です。昨年は選手として2人乗りの部門に出場。パートナーと本番に向けてコンディションを整え、息を合わせて臨みましたが、結果は2位という悔しいものに。今年は細かいところまで調整し、必ず優勝したいです。また指導員としても本気で高校生と向き合っていますから、彼らが結果を出したり成長を感じられたりすると嬉しいですね。自分と高校生、2つの成長を喜べる仕事です!
大学時代はセーリング一色でした。高校時代から兄の影響でセーリングを始めましたが、「もっと熱中したい」と、兄が通っていた日本経済大学に見学へ。世界大会を目指す監督の言葉に背中を押され、入学を決めました。大学では基本を徹底的に練習し、4年生の時には全日本女子インカレで優勝!その裏には部活での頑張りに加え、授業での理論的な学びもありました。セーリングは全身を使うスポーツですから、スポーツ指導論を参考にした練習メニューの作り方、スポーツ栄養学での学びを活かし、たんぱく質中心の食事で筋力がアップ。大会出場と勉学の文武両道をこなすことで大学全体から部活動を応援してもらえたので、とてもありがたかったです。
セーリングを仕事にすると決めたのは大学4年生の頃。大会で思い通りの結果が残せず、「国民体育大会で優勝」という新たな夢が生まれたんです。この仕事を紹介してもらった時、最初は福岡から鳥取へ行くという不安、初めて指導することへの躊躇がありましたが、夢への思いが強く挑戦しようと決意しました。大学時代にライバルとして刺激を受けていた他大学の選手をパートナーに迎え、私の新たなセーリング人生が始まりました。高校生を指導する際には、大学で学んだスポーツ科学の基礎や選手のやる気を高める心理学が役に立ちますね。学科には様々なスポーツに励む同級生がいましたから、仲間たちから教わった緊張の克服方法は参考にしています。
悔し涙を飲んだ大学4年生の大会。その雪辱を果たすためにも、今年こそ国民体育大会で優勝したいです。また、日本はヨットをしている人口が少ないので、「中学生選手をもっと増やしたい」と考えています。高校生を育成するのもその活動のひとつですね。それに私自身がいい成績を残すことでヨットに興味を持つ人が増えるきっかけになるかもしれません。そして2019年には、鳥取で開催されたヨットの世界選手権に運営サポートとして参加。大会には「世界中からヨットの選手やトレーナーが集うこの機会に、競技の魅力を多くの方に知ってもらいたい」という思いで臨みました。私自身も世界レベルの技術を目の前で見られるチャンスを得られました。
鳥取県庁 地域スポーツ振興部 西部総合事務所/経済学部 健康スポーツ経営学科/2017年卒/選手と指導員の2つの顔を持つ山本さん。セーリング連盟にも所属し、日々ヨットの振興や大会運営、新しい選手の発掘・育成を行う。大学でスポーツリーダーの資格を取得したという彼女は「指導することに最初は不安もありましたが、『本気で勝つ』という気持ちがないと練習も面白くないと気がついたんです。私自身の経験を活かした指導で、高校生に『わかりやすい』と言われたり、学生が指導した通りの技術を再現できたりするとすごく嬉しい」と語る。自然が相手だからこその奥深さもあるこの競技。彼女の挑戦は続いていく。