研究テーマは『健常人における皮膚や口腔内の細菌およびウイルスに影響を及ぼす要因について』。専門である臨床微生物学の視点から「皮膚の細菌数と、精神的ストレスおよび心理的要因との関連」「気圧による身体の影響および皮膚細菌数などの関連」について研究しています。ストレスによって身体の状態が変化することは広く知られていますが、私の研究では、その変化が身体に常在する「細菌」にどのような影響を及ぼすかが焦点となります。人体に関与する調査・研究はとても面白いもので、性格的に「不安が強い」「自尊心が高い」といった心理的要因によって細菌数が増減するなど、興味深いデータも結果に現れています。これらの研究はゼミに所属する学生と一緒に取り組みますが、学生による新しい発見もあり、非常に興味深く感じています。
近末教授が担当する「臨床微生物学」では、微生物(細菌や真菌、ウイルスなど)の構造や機能をはじめ、滅菌・消毒などの感染制御対策や感染予防、感染症の種類、微生物の特徴や性質・病原性・検査法・治療など病原微生物に関する知識を広く学びます。これらの知識をもとにした実践である「臨床微生物学実習」では、培地の作成や培養をはじめとした臨床検査の基礎的事項を修得。授業において教授が大切にしていることは、微生物の形態や作用を可視化し、できるだけ身近な例に落とし込むこと。「わかる」ことの面白さが探究心を育みます。
「学問」とは本来とても面白いもの。しかし、その面白さを味わうには基礎的な知識や技術の修得が欠かせません。基礎の反復は、時に退屈に感じるかもしれませんが、乗り越えた先の景色をぜひ見に行ってほしいですね。
専門分野/臨床微生物学(ウイルス学)、公衆衛生学、健康科学
略歴/川崎医療短期大学臨床検査科を卒業後、臨床検査技師として臨床に携わるとともに、同科に助手補として入職する。学生と関わる中で、教育における専門領域の修得の必要性を感じたことから、佛教大学文学部 教育学科および大阪大学大学院人間科学研究科 教育学専攻、岡山大学大学院保健学研究科 博士課程にて学びを深め、現在に至る。博士(保健学)。