研究テーマは「高齢者のストレングス」。人の身体能力や認知能力は、加齢に伴い低下していきます。この点のみを捉えると、高齢者の「できないこと」ばかりに目を向けてしまいがちですが、人生の大先輩である高齢者の方々には、私たちが学ばせていただくことも多くあります。培った経験や知識、人間関係などのストレングスは大きな財産であると同時に高齢者本人の拠り所になるもの。またストレングスはQOL(quality of life:生活の質)を高めると言われていますが、高齢者を対象とした調査では、自身のストレングスを活用できていると感じることが、さらなるQOLの向上につながることが明らかになっています。高齢者が自信をもって生活し、意思決定を行えることを周囲が今以上に尊重できる、そんな社会の実現につながる看護を行いたいと考えています。
「倫理的感性」と「ディスカッション能力」の養成をめざし、看護の場面で起こり得る倫理的問題(患者は食べたいと希望するが、誤嚥のリスクがあり食べることが命に関わる場面や、延命処置について家族が悩む場面など)をテーマにしたディスカッションを行う『模擬倫理カンファレンス』をはじめ、患者の身体拘束の弊害や、望まれる看護についてディスカッションを行う『拘束体験演習』など、患者の身体的・心理的状態を体験を通して考察し、看護における倫理と個別性に寄り添うことの重要性を理解する学びを展開しています。
私は看護師となることで、やりがいを得ると同時に、自身の人生に役立つ知識を備えることができました。また、多くの人との出会いは視野を広げます。学ぶことは、患者さんだけではなく自分の幸せにもつながりますよ。
専門分野/老年看護学
略歴/川崎医療福祉大学医療福祉学部 保健看護学科(現:保健看護学部 保健看護学科)を卒業後、看護師として臨床に立った。その後、川崎医療短期大学看護科にて後進指導の道へ。川崎医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 保健看護学専攻にて学びを深め、さらに実務経験を積んだのち、2016年に川崎医療福祉大学医療福祉学部 保健看護学科へ助教として入職。2018年より現職(講師)、修士(保健看護学)。