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千葉工業大学、世界初のダイレクト・インジェクション型ガスハイブリッドロケットの打ち上げ成功
2020/4/14
千葉工業大学は、2020年3月30日(月)13:05に千葉県夷隅郡御宿町にある千葉工業大学惑星探査研究センターロケット実験場にて世界初の ダイレクト・インジェクション型ガスハイブリッドロケット※の打ち上げを成功させた。



本実験は、高エネルギー物質を用いた新型ロケットエンジンである、ダイレクト・インジェクション型ガスハイブリッドロケット(DIGHR)を用いた小型ロケット打ち上げ実験による世界初の実証実験。


DIGHRは千葉工業大学と関連企業らによる共同研究により開発されたものであり、従来のハイブリッドロケットよりも高密度・高エネルギーかつ、高い燃焼効率であり、消炎、再着火性能も有する高性能・高機能なシステムだ。


本実験では、フライト用ロケットエンジンを開発し、ロケット飛翔中において正常な動作を確認した。



今後は本実験結果を踏まえ、DIGHRの特徴である消炎再着火をロケット飛翔中に実証する。また、宇宙機への搭載を目標に、宇宙空間を模擬した環境での着火、再着火の検証、より軽量なフライト用エンジンの開発に取り組み、早期の宇宙実証を目指す。



※ダイレクト・インジェクション型ガスハイブリッドロケット(DIGHR)について

全く新しい独自方式のハイブリッドモータとしてGAP (Glycidyl Azide Polymer) / N2O(亜酸化窒素)の組み合わせのDIGHRの研究開発を進めている。GAPは、エネルギー密度が高く、自己発熱分解特性を有するポリマーでその特徴を利用し、ガスジェネレータとして利用する。GAPを使うことで、超小型探査機用のキックモータの要求である、「小型軽量」・「着実な着火」・「短時間で大きなΔV」を達成することができると期待されている。さらに、ハイブリッドロケットの利点として、酸化剤供給を停止することによって自動的に消炎でき、かつ後の再着火も可能という特徴を備えている。加えて特筆すべき点として、GAPは火薬ではないため、安全面、保管・輸出面で有利であることが挙げられる。



一方、酸化剤として用いる亜酸化窒素は液体酸素のような冷却が不要で、衛星搭載する上で非常に扱いやすいという利点を有している。


酸化剤の亜酸化窒素を余らせておけば、酸化剤を噴射するコールドガスジェットしても利用可能になる。


既に、本研究室ではGAP/N2Oガスハイブリッドロケットの地上燃焼試験に成功しフライトモータの設計・燃焼実験を経て今回の打ち上げ実験に進んでいる。


これまでの設計検討において、6Uサイズの超小型探査機のうち3U分がGAP/N2Oガスハイブリッドモータとした場合に最大となるΔVは1020.7m/sとなることが明らかとなった。


一方、50kgマイクロサットの超小型探査機のうち10kg分がGAP/N2Oガスハイブリッドモータとした場合に最大となるΔVは531.4m/sとなる。


いずれも超小型探査機の軌道制御には十分な増速量であり、例えば、月周回探査機の軌道高度の変更や、GTO(静止遷移軌道)からならば月へのフライバイ、さらには地球重力圏を脱出して深宇宙に到達することも可能だ。



また、月周回有人拠点GatewayやGateway補給用HTV-Xからであれば火星遷移軌道投入も期待できる推進系である。


本実証実験により、加速度環境下における正常な動作が確認できれば、小型かつ高密度で消炎、再着火が可能なロケットシステムとして小型宇宙機用推進器としての宇宙実証を目指す。



■詳細リンク先(https://www.it-chiba.ac.jp/topics/pr20200401rocket/)
千葉工業大学(私立大学/千葉・東京)
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