サハラ以南のアフリカ、特にスーダン共和国・南スーダン共和国・ウガンダ共和国において、移民・難民を対象に宗教実践に関する調査をしています。南スーダンと北スーダンは一つの国でしたが、二度の内戦を経て、2011年に南スーダンが独立しました。北スーダン(現:スーダン共和国)は多くがイスラム教徒、南スーダンはキリスト教徒なので、内戦によって南スーダンから北スーダンに逃れた人々は、移住者集住地区に自分たちの教会をつくりました。そこで彼らがどんな活動をしているか。教会を拠点にどのようなネットワークを構築しているのか。私も北スーダンに赴き、フィールドワークを行いました。現在は調査地を南スーダンとウガンダに移し、研究を継続中。最終的な目標は、外来宗教としてのキリスト教がアフリカに与えた影響を問い直すことです。
国際社会論の授業では、「難民体験」というユニークなワークショップも。「さあ、ここは南スーダンです。紛争が起きたので、避難しなくてはなりません」と飛内先生。「何を持っていく?移動手段は?逃げ道は?」。周囲の状況を踏まえながらいかに避難し、避難先でどう新しい生活を築いていくか。その疑似体験により、国際社会が難民に及ぼす影響も学びます。また文化人類学のゼミでは、実際にフィールドワークへ。地元の祭りを深く掘り下げたり、特産品が地域に与える影響を調査したり…。学生一人ひとりが興味あるテーマを選んでいます。
世界の多様な文化を知り、人間について考えるのが「文化人類学」。自分で問いを立て、自分で答えを出す学問なので、粘り強く考える力が必要です。決してラクではありませんが、楽しい学びであることは保証します。
専門分野:文化人類学、アフリカ地域研究、移民・難民研究
福島県生まれ、関東育ち。上智大学大学院博士後期課程修了。2007年から現在まで通算40カ月近くアフリカに通い(2011年~2012年の長期フィールドワークを含む)、スーダンの内戦終結直後から南部独立までの歴史的転換点にも立ち会う。2019年2月、著書『未来に帰る:内戦後の「スーダン」を生きるクク人の移住と故郷』(風響社)を上梓。