私の専門は近代欧米の服飾史です。「20世紀初めのヨーロッパで、シンプルなデザインのドレスが流行った理由はなんだろう?」など服飾に関するテーマは無数にありますが、ファッションデザイナー個人の才能や感性だけで説明できるものではなく、「時代が作品を生み出した」という観点で解き明かす必要があります。ですから私は、服飾の歴史と、建築やインテリアといったデザインの歴史を融合させた視点から研究をしています。
現在私たち服飾文化学科の教員で、「1901年のフランスのファッション雑誌」について研究しています。当時、日本の影響を受けた「ジャポニスム」の文化がヨーロッパを席巻していました。私たちは雑誌に掲載されている、日本のキモノから影響を受けた婦人服を実際に製作して、その時代の衣生活文化を解明しようとしています。
豊かなファッション文化を未来へ紡いでいく人材を育成する「服飾文化学科」で、鈴木先生が担当しているのは「西洋服飾文化史」などの授業。古代ギリシアから現代に至るまでの装いが、当時の社会情勢や風土、宗教や技術とどう関係し、現在へと繋がってきたかを講義しています。学科のカリキュラムには、民族学博物館や伝統工芸の工房、西洋の服飾の世界的研究機関などを見学するフィールドワークも組み込まれており、知識と体験の両面から、現代のファッションそして文化が、どのような過去の集積の上に成り立っているかを学んでいます。
どんな分野に進むにしても、希望をもって何かを生み出す人になってほしいです。めまぐるしく変わる時代の中で時に立ち止まり、未来に向かって「大事なことは何か」を考える力を、歴史を学ぶことで身につけませんか。
専門/近代ファッション史、近代デザイン史
略歴/杉野服飾大学服飾学部服飾文化学科教授。杉野女子大学家政学部卒業、日本女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。共著に『生活文化論』(朝倉出版 2002年)、監修に『イラスト入り 装い・服飾用語事典』(柊風舎 2020年)『オートクチュール パリ・モードの歴史』(白水社 2012年)など。意匠学会会員、服飾文化学会理事。