大学院修了後の私は、現代美術の領域で作品を発表していました。そのようなアート(美術)の視点から、ファッションの可能性を探究していくことが研究テーマです。ファッション業界ではブランドのコンセプトづくりや服のデザイン、ショップづくりなどにおいて、多かれ少なかれアーティスティックな要素を取り入れています。また、アートの要素を色濃く打ち出した、作家性の高いファッションを提案しているデザイナーもおり、研究テーマとして可能性を感じています。
学生が日ごろの生活のなかで、心の琴線に触れる「美」について突き詰めて考えること。また考えることで、自分の美に対する価値観について深く知ってもらうことを重視して、指導しています。そこで得た知見や感性を、将来、ファッション分野の仕事でぜひ役立ててもらいたいと考えています。
千代崎先生が担当しているのは『ファッションエディトリアル』の授業。ルックブック(小冊子)やカタログの制作を行っています。学生が自分でブランドを考案し、冊子の企画やロゴマークの制作、撮影、撮影小物のコーディネートなどを行いながら実践的に学びます。そうした体験を通して作り手側の視点を知ることや、人にものを伝えることの重要性について理解を深めることが授業の主な目的です。「作るプロセスを重視しており、安易に答えを与えません。よく考えて、自分なりの答えを導き出す習慣が身につくよう指導しています」
美しいと感じるモノやコトに、たくさん触れてください。そのためには自分の身体、五感を使って体験することが大切です。バーチャルではなく現実の世界に飛び出して、たくさんのモノ・コトと出合ってください。
専門/美術
略歴/東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同大学院美術研究科絵画専攻修士課程(油画技法材料研究)修了。その後、数々の個展、グループ展においてインスタレーション形式による現代美術作品を発表。現在は杉野服飾大学服飾学部教授として活躍しているほか、同大学院でも院生の研究を指導している。「良いものには必ずバックボーンがあります。それが何であるか考えることを大切にしてください」