器作家として活動しています。私の作品の特徴は透光感と柔らかい白さ。初めて陶芸に触れた時、土の心地よい質感に感動しました。轆轤(ろくろ)成型時の土の滑らかさや釉薬を使う前の自然な白さをそのまま残せないか。そんな出発点から光が透ける磁器土を薄く成型し、釉薬をかけずに焼成して表面を磨く自分の表現を探究してきました。轆轤師として余分なものを極限まで引き「形で見せたい」という思いもあります。主に日常食器を制作しているのは、実際に手に取ってもらい、暮らしを豊かにできるものをつくりたいから。光を柔らかく映す器には、その場の光の色や雰囲気を受け止め、お使いいただく方の気持ちに寄り添うような効果があると思います。「器としての機能」だけでなく「心を動かす表現力」を併せ持つ作品づくりを心がけています。
「まず成功体験をつくってあげたい」と森岡先生。技術的な評価よりも「できた」「楽しい」という経験を通して自信を育むことを大切にします。その自信から主体的な学びにつながり、驚くほど伸びる学生が多いとのこと。2024年4月開設の生産・工芸デザイン学科では、ライフスタイルにおける新たなアート・デザインの形を探究できる力を身につけるカリキュラムに再編。「ひとつの技術や素材は探究されつくされていても、それを超えるのは合わせ技。プロダクトやファッションなど様々な分野とのハイブリットで、新しい道を拓いてほしい。」
伝統的な技術があるからこそ、既存のものからの崩し方がわかり、新しい表現が生まれます。まずは基礎となる技術を学び、そして自分が表現したいものを見つけ、今の時代に求められる新しい作品を生み出してください。
デンマーク国民美術学校に留学した際に陶芸と出会い、器作家の道を歩み始める。帰国後、金沢の九谷焼技術研修所や金沢美術工芸大学、茨城県の笠間焼の工房などで学ぶ。2016年金沢美術工芸大学にて博士(芸術)を取得、2022年より神戸芸術工科大学教授。工房がある金沢と神戸を行き来し、作家および教員として精力的に活動。海外でも展示会を行っている。2010年日本クラフト大賞経済産業大臣賞を受賞。