医学研究者としての私の専門は感染症と皮膚免疫学です。これまで多くの感染症や皮膚疾患の患者と向き合ってきましたが、こうした病気は「健康」の問題のように見えて、実は「社会」の課題とも深く関わっています。例えばエイズ患者は症状だけでなく、無知から生じる偏見や差別にも苦しんできた歴史があります。新型コロナウイルスが流行した際も、感染者や医療従事者への偏見、そして感染拡大による経済や教育活動への打撃も大きいものでした。こうした病気から派生する様々な問題を「社会的視点」でとらえることがグローバルヘルス領域の学びです。健康や医療の問題に立ち向かうのは、医師や看護師だけではありません。国際教養学部では、世界の人とコミュニケーションをとりながら健康課題の解決に貢献できる人材を育てることが使命だと考えています。
フランソワ先生が指導する感染防御免疫ゼミナールでは、新型コロナウイルス、エイズ、マラリア、アトピー性皮膚炎といった病気について各自が調査・発表し、予防や感染対策、病気が与える社会、経済、教育などへの影響を様々な面から議論します。ゼミには留学生をはじめ、帰国子女も多く在籍し、英語や日本語、時にはフランス語や中国語も飛び交います。デング熱をテーマにした議論では、シンガポールに居住していた学生から現地の感染対策についての知見がシェアされることも。グローバルな視点から学び、理解を深められる環境です。
世界でおきている紛争や貧困、病気や差別。その解決に必要なのは「教育」です。私はルワンダの貧しい地域で生まれましたが、大学で学び留学して医師になる夢を叶えました。皆さんも夢をあきらめず挑戦してください。
専門分野:感染症、皮膚免疫学
中国医科大学臨床医学部卒業。順天堂大学大学院医学研究科生化学第二講座修了。医学博士。
ルワンダ出身。順天堂大学国際教養学部教授/学部長。順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター教授。専門は感染症、皮膚免疫学。アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の機序と感染防御における抗菌ペプチドの役割に着目し、皮膚免疫や感染症、創傷治癒などに関する研究に従事している。