国際協力機構(JICA)の専門家としてフィリピンやブラジルをはじめ、アジア・アフリカ各国に赴任し、エイズ対策や乳児や妊婦に対する保健プロジェクトに携わってきました。40代半ばから順天堂大学での研究・教育に関わるなかで、世界で需要の高まる「高齢化」と「生活習慣病」への対策に着目。アジアでは急速に高齢化が進み、20年後、30年後にはラテンアメリカやアフリカでも高齢化が進む予測です。高齢大国・日本が培ってきた生活習慣病予防、認知症対策、介護技術などの知見は、多くの国で参考となるはず。そこで現在、伊豆の国市に保健医療・介護福祉の拠点をつくり、ここでの施策や研究成果を実現可能な形で途上国へ展開するプロジェクトを進行中です。高齢化対策は、将来日本の学生が世界をリードしていける可能性がある分野だと考えています。
湯浅先生の担当するグローバルヘルスゼミでは、健康格差、少子高齢化(まちづくり)、気候変動による健康影響といったテーマについて理解を深めています。ゼミでは実践を重視し、タイの公衆衛生プロジェクトや伊豆の国市で展開している高齢化対策のプロジェクトに参加する機会も提供。「実際に現地を訪れ体験することで、学生の意識が大きく変わる」と話す湯浅先生。プロジェクト参加後に目標が明確になり、留学する学生やアメリカ疾病予防管理センター(2019年卒)、タイ保健省(2020年卒)などで活躍する卒業生も誕生しています。
人間は誰しも歳をとります。高齢化は日本に限らず、世界共通の課題。世界の人のために何ができるか、順天堂大学での学びを通して、人生をかけて取り組みたいと思える夢を見つけてほしいと思います。
専門分野:グローバルヘルス、ヘルスプロモーション、高齢化対策
北海道大学医学部卒。博士(医学)。
医学部卒業後、北海道庁、北海道静内保健所長を経て、国際協力機構(JICA)の専門家として、フィリピン国保健省、ブラジル国ペルナンブコ連邦大学へ長期派遣。その他、多数の国で公衆衛生専門家として国際協力に従事。2009年順天堂大学医学部、2015年同大国際教養学部先任准教授を経て、2017年より現職。