膝関節は、日常生活はもちろん、スポーツにおいても、重要でありながらダメージを受けやすい部分です。膝靭帯の断裂といった大怪我は回復まで長い年月がかかりますし、残念ながらアスリートの15~20%が再度怪我をしてしまう。怪我前のパフォーマンスにまで回復できる方は全体の50%に満たないというデータも出ています。
私は長年トップアスリートのリハビリに関わりながら、主に膝の怪我を専門に研究してきました。リハビリにおいては、心理的なケアも欠かせません。とはいえ、生活がかかっている選手に「頑張ろう」だとか、安易な言葉をかけるのもまた違う。最善を尽くして選手の怪我が治り、私の手を離れる際には、もうケガやリハビリをせず、元気でプレーし続けて欲しいという気持ちから「”またね”とは言わないよ、元気でね」と声をかけます。
リハビリ時の指導はもちろん、怪我の予防やトレーニング、スポーツ時の動きに関しての研究・知識も豊富で、アスリートから絶大な信頼を得ている相澤先生。順天堂大学理学療法学科の特徴を「全教授が現役で大学病院やスポーツ現場でのリハビリに関わっているため、今起きていることを学生にすぐ伝えられることが最大の利点」と話す。「私自身現場に行くことも多いので、学生にも可能な範囲で実際の現場を見せてあげたいと思っています。患者さんのためにより深く研究したい、技術を磨きたいと思っている方、一緒に学びましょう」。
理学療法士=病院と思われがちですが、身体全般を学んで身に付いた知識を活かして、公務員として公的機関に関わったり、健康器具などの製品開発や機器の開発に携わることも。豊富なフィールドがある仕事なんですよ。
順天堂大学で先任准教授を務めるほか、都内複数の医療系大学で教授・講師として教壇に立つ。日本オリンピック委員会 強化スタッフ、日本スケート連盟 スピードスケート強化スタッフ、NECレッドロケッツ 理学療法士、日本スポーツ理学療法学会 常任運営幹事などを兼任。論文や書籍、講演など幅広い活動をしている。