高齢者における握力低下と無症候性ラクナ梗塞の関連について研究しています。無症候、つまり症状が出ないため早期発見が難しいのですが、研究を通してラクナ梗塞があり握力が低下している高齢者は、転倒のリスクが高いことがわかってきました。ラクナ梗塞は脳内の特定の小血管が詰まることで運動機能が低下し、握力も影響を受けることがあります。脳ドッグなどの検査には時間やコストがかかりますが、握力なら器具を握るだけでどこでも測定可能です。うまく活用できれば、握力測定によって潜在的な脳梗塞のリスクを早期に発見できる手掛かりになるかもしれません。研究は地道な作業の連続ですが、知見が得られた時は大きな達成感を感じられます。
介護予防やヘルスケアの分野に関心をもったのは、田村好史先生が指導する「Health Care Labゼミナール」に所属したことが大きいと思います。「好きなことを好きなだけ・やっていることを楽しくする」というゼミのコンセプトのもと、本当に自由にやりたいことをさせてもらいました。ゼミでは大学院の研究室を訪問する機会があり、学部生時代から高齢者の参加者さんの測定に携わるなど研究に参加していました。参加者さんと実際に接して声を聞くなかで、ニュースで見る高齢化率の高さや医療費の高騰といった社会問題に対して、私にも何か貢献できることがあるのではないかと感じたんです。そこから研究に対する目的意識が明確になっていきました。
どの授業もそうなんですが、国際教養学部ではプレゼンテーションをする機会が多く、自分の意見を効果的に伝えるスキルはすごくレベルアップしたと思います。指導してくださる先生方も様々な分野の出身で、海外の大学で研究されていた先生やJICAなどの国際機関で勤務されていた先生、医師の先生もいて、本当に多様性に富んでいます。高校生のときにはなかなか聞くこともなかったような、海外の事例や経験談をお聞きしたことで視野が広がり、「タイで学ぶグローバルヘルス」 といった海外研修にも参加しました。やりたいことを応援してくれる環境があり、何かにチャレンジすることが楽しいと感じられるようになったのは大きな変化でした。
順天堂大学大学院 医学研究科進学/国際教養学部 国際教養学科卒/2023年卒/高校時代には明確に学びたいものはなかったという山下さん。国際教養学部に入学したのは、異文化コミュニケーション、グローバルヘルスサービス、グローバル社会の3領域を網羅的に学び、さらに英語やその他の言語も学べる、まさになんでもできるカリキュラムに惹かれたからだそう。卒業後は順天堂大学大学院 医学研究科に進学し、高齢化や介護予防をテーマにした研究に取り組んでいる。